2月12日

 

 ESAは7日、アメリカのボルチモア宇宙望遠鏡科学研究所のローランド氏を中心とする研究グループが、ガイアのデータから天の川銀河、さんかく座銀河(M33)、アンドロメダ銀河(M31)内の星の動きを考察するとともに、それぞれの銀河の軌道運動を図として描くことに成功したと発表した。今からおよそ45億年後に天の川銀河とアンドロメダ銀河が衝突し、合体して楕円銀河になる予測がなされたとしている。

 

 天の川銀河は、アンドロメダ銀河とさんかく座銀河とともに銀河団を形成している。銀河団の多くの質量はこの3つの銀河で占められている。これまでも天の川銀河とアンドロメダ銀河が衝突し、天の川銀河周辺の宇宙空間を変えてしまうのではないかという予測がされていたが、天の川銀河の3次元的な動きを捉えることができず、予測については謎が残されたままであった。

 

 「天の川銀河の成長と進化、またそれらを促すものが何であるかを研究するには、銀河の3次元的な動きを研究する必要があった」とローランド氏はコメントしている。

 

 またこれまでの銀河団の研究では、アンドロメダ座銀河とさんかく座銀河の軌道運動を捉えるべく、ハッブル宇宙望遠鏡や地上からの観測によってこれらの銀河と天の川銀河を含む銀河団の観測を試みていた。アンドロメダ銀河とさんかく座銀河の2つの銀河は、2.5~3百万光年先にあるところに位置しており、相互作用をもたらすほどの近さに存在しているとしている。この2つの銀河はすでに衝突、もしくは現段階で衝突過程にあるがために異なる軌道を描くことが予想されている。

 

 アンドロメダ銀河、さんかく座銀河の星の動きを捉えることによって2つの銀河の動きがわかるだけでなく、銀河の自転軸に対してどのように星が運動するかもわかるようになった。またアンドロメダ銀河、天の川銀河の衝突については、これまで39億年後に衝突をするのではないかと考えられていたが、最初に近づくときにかすめるような衝突をするために実際にはもっと多くの時間が衝突するまでにかかり、45億年後になると予測された。

 

 

 

( C ) Orbits: E. Patel, G. Besla (University of Arizona), R. van der Marel (STScI); Images: ESA (Milky Way); ESA/Gaia/DPAC (M31, M33)

 

天の川銀河、さんかく座銀河、アンドロメダ銀河の軌道運動の予測。丸印は現在の位置、矢印は25億年後の位置、×印は45億年後の位置を表す。

 

 

 

( C ) NASA, ESA, and M. Durbin, J. Dalcanton, and B. F. Williams (University of Washington);

ハッブル宇宙望遠鏡によって捉えられたさんかく座銀河。さんかく座は秋の空の天頂付近に見える星座である。