6月3日

 

 環境省、国立環境研究所(NIES)、宇宙航空研究開発機構(JAXA)は2日、温室効果ガス観測技術衛星「いぶき」(GOSAT)観測データを使って、地上から上空までの「地球大気全体(全大気)」のメタンの平均濃度を算出したところ、北半球の初夏〜夏(5〜7月)に極小、北半球の晩秋〜冬(11〜2月)に極大となる季節変動を経ながら年々上昇し、今年1月には過去最高の約1815 ppb(*注1) を記録したと発表した。さらに推定経年平均濃度(*注2)は一昨年2015年頃に増加率が上昇し、今年2月には過去最高の約1809 ppb に達したことも判明。メタンは二酸化炭素に次いで地球温暖化に与える影響の大きい重要な温室効果ガスとして知られている。

 衛星で観測できる地域は、太陽高度が高くかつ雲のない特定の地域に限られるため、算出した「全大気」の濃度は、「いぶき」の観測データに基づきモデル的手法を用いて推定した結果である。「全大気」月別平均値とそれに基づいて算出した推定経年平均濃度のグラフを以下の図1の通り。この数字は、地表面の平均濃度(米国海洋大気庁がデータを公開している)より40 ppbほど低い結果が出ているが、この傾向はメタンが大気中で分解されるために上空ほど低濃度になることと整合的なものであるとしている。

 

(C) 環境省、国立環境研究所、宇宙航空研究開発機構

 

 温室効果ガス観測技術衛星「いぶき」(GOSAT)は、環境省、NIES、及びJAXAが共同で開発した世界初の温室効果ガス観測専用の衛星であり、2009年1月23日の打上げ以降、現在も観測を継続。今回の濃度算出においては、2009年5月から2017年2月までの約8年間の観測データを用いている。

 

 なお「いぶき」による月別メタンの全大気平均濃度データは、6月2日より国立環境研究所NIESのホームページに公開されている。

 https://www.gosat.nies.go.jp/recent-global-ch4.html

 

*注1:微量の気体の濃度等を表す単位で、1 ppbは10億分の1の割合を意味する。
*注2:季節変動を取り除いた2 年程度の平均濃度値