1月16日

 

 ESA(欧州宇宙機関)は9日、イギリスのウォーリック大学のピア・エマニュエル氏を中心とする研究グループが人工衛星ガイア(2回目にリリース)のデータから、星の中心部にあるガスが星の進化過程で冷えていき、ガスを取り巻く中心部が液体から固体へと結晶化し固化する特徴をもつ白色矮星のデータをHR図から発見したと発表した。

 

 一般的に多くの星は、大きな質量で青く明るく輝く状態から、質量が小さくなり赤くて暗くなるように進化していく。この進化過程をたどる星は主系列星とよばれるが、光度は小さいが青く輝く白色矮星や、光度は大きいが赤色に輝く赤色巨星も存在する。

 

 白色矮星の大きさは太陽と同じくらいであり、中心部にある核燃料を使い果たすと外層がはがれ始めていき、中心部が冷えていくと考えられている。中心部は何十億年もかけて冷えていくが、ある一定の温度に達すると結晶化し、固化する。水は0℃で氷になるが、白色矮星は1000万℃もの高熱で固化するといった具合である。このような理論は1968年に予測がなされていたが、これまでに実際に発見されることはなかった。

 

 研究グループは白色矮星の固化現象を研究するべく、ガイアのデータのうち地球から300光年以内の15000個もの白色矮星を選び出し、HR図としてプロットしデータを解析した(写真2)。その結果50年前に予測されたように、冷えて固まる白色矮星の特徴である色と光度の特徴をはっきり捉えることに成功した。研究者の1人であるエマニュエル氏は、「何百もの白色矮星の空間的広がりを目撃し、それらが集団をなしており、そこにある星の年齢は全て同じ年齢であることがわかった。また他にも天の川銀河の外縁部において、明るさや色が異なる、しかも初期の段階から様々な年代の何十万もの白色矮星をガイアのデータから発見した。」とコメントしている。

 

 これらの白色矮星は熱を出し続けているため、見かけ上では通常よりも2億年若く星が輝いて見える。この白色矮星の色から、白色矮星の年齢及びそれらを含む星団の年齢を特定することができる。よって今後更に白色矮星の固化を研究することによって、正確な星団の年齢を決めることができるとしている。

 

 また白色矮星は全て同じペースで冷えて固化するわけではない。大きめの質量の白色矮星は10億年ほどの早いペースで冷えていき固化し、小さめの質量の白色矮星は60億年ほどの遅いペースで冷えていき固化すると考えられている。なお太陽は50億年前は白色矮星であったと考えられており、これから50億年かけて冷えていくことで固化するのではないかと天文学者の間では考えられている。

 

 

( C ) University of Warwick/Mark Garlick

写真1

中心部が固化した白色矮星のイメージ図

 

 

( C ) Courtesy of Pier-Emmanuel Tremblay et al

写真2

ガイアのデータから地球から300光年以内の様々な色、光度をもつ白色矮星のデータをHR図としてプロットしたもの。青い線はそれぞれ太陽質量の0.6、0.9、1.1倍の質量をもつ白色矮星の固化プロセスの理論モデルを再現したもの。オレンジ色のラインは白色矮星が密に集まったラインを強調している。オレンジ色のラインは白色矮星の明るさが時間が経っても自ら放出する熱の影響により、理論モデルよりも明るくなることを示している。