2016年11月3日

 

 環境省は1日、10月25日及び26日にインドネシア共和国のバンドンにおいて行われた「低炭素アジア研究ネットワーク(LoCARNet)」第5回年次会合の結果概要を報告した。

 この会合は、バンドン工科大学、ボゴール農業大学、国立環境研究所、地球環境戦略研究機関等と共に行われた。

 本年次会合では、「パリ協定の実施に向けて:科学に基づいた気候政策を支援する研究コミュニティの役割」をテーマに、アジアにおける喫緊の課題(低炭素都市、革新的なモニタリングシステム、土地利用、適応、NDC(各国が定める貢献)の策定・実施と望ましい能力構築のあり方)について、活発な議論が行われた。

 

 結果概要については以下の通り。

 

・低炭素都市のセッションにおいて、日本から二国間クレジット制度(JCM)都市間連携スキームを活用した自治体の取組みや、 ASEAN地域で進めている環境モデル都市プログラム(ESC)の事例などを発表。また、マレーシアとベトナムの都市が低炭素社会 づくりに関する具体的な取組みを紹介した。討論では、優良事例を共有していくことが取組みを拡げる上で効果的としつつも、単 に事例の紹介にとどまらず、その成功要因についても共有すべきとの意見が強調された。

 

・土地利用のセッションでは、アジアのいくつかの国はまだ温室効果ガス発生量が少なく、現在は農林業主体の取組みが主となっ ているものの、急激な発展の途上にあり、今後エネルギー起源CO2の排出が大きく増えると見込まれていることが発表された。そ の上で、それぞれの国にあった具体的政策を組み合わせながら、長期的視点から温室効果ガス削減を行っていくことの重要性が 共有された。

 

・NDC(各国が定める貢献)の策定・実施と望ましい能力構築のあり方についてのセッションでは、途上国がNDCの実施や強化を着 実に進めていくことができるよう、先進国からの能力構築支援に加えて、先行途上国による知見の共有や南南地域協力を更に強 化していくべきことが提案された。また、次世代を担う若手への能力構築の重要性が指摘された。

 

・総括セッションでは、LoCARNetバンドン宣言に盛り込むべきメッセージについて議論がなされ、パリ協定の発効が確実になり、今 後各国で対策の着実な実施と透明性の確保が求められることを受け、科学的知見の政策への織込みやJCM等を活用した個別プ ロジェクトの形成等の具体的な行動に結び付ける重要性が共有された。宣言文は年次会合での議論を元に今後取りまとめられ、 11月に行われるモロッコ・マラケシュで開催される気候変動枠組条約第22回締約国会議(COP22)で公表される予定である。