2016年11月6日(日)

 

 経済産業省は10月28日、冬季の省エネルギーの取組についての策定をまとめた。
 政府自らが率先して省エネルギーに取り組むと共に、国、地方公共団体、事業者及び国民が一体となった省エネルギーに関する取組をより一層推進することとしている。

 背景には、エネルギー価格の不安定化による国民生活全般及び事業者の経済活動に対する影響を軽減するために、エネルギー効率の向上を徹底して進め、エネルギー供給量や価格変動に柔軟に対応できる社会経済を築く必要があることが挙げられる。さらに、世界は地球温暖化という共通の課題に直面しており、この解決に向けて国内外のエネルギー効率の改善を一層促進することも必要である。

 昨年7月には地球温暖化対策推進本部が、温室効果ガスを2030年度に2013年度比26%減少させるという削減目標を盛り込んだ約束草案を決定した。この「日本の約束草案」や昨年12月に合意されたパリ協定を踏まえ、今年度5月13日に「地球温暖化対策計画」及び「政府がその事務及び事業に関し温室効果ガスの排出の抑制等のため実行すべき措置について定める計画「政府実行計画」」が閣議決定され、地球温暖化対策の中でも徹底した省エネルギーの取組を進めていくこととなっていた。

 冬季の省エネルギーの具体的な取組として以下の項目(概略)が挙げられている。

 

1.国民運動の展開

 関係府省庁が産業界・労働界・地方公共団体・NPO等と連携し、国民の地球温暖化対策に対する理解と協力への機運の醸成や消費者行動の活性化等を通じて、省エネルギー・低炭素型の製品への買換え・サービスの利用・ライフスタイルの選択など地球温暖化対策に資するあらゆる賢い選択を促す国民運動「COOL CHOICE」を推進し、我が国を省エネルギー・低炭素社会に転換していくための取組を展開する。

・省エネルギー関連の展示会への政府出展や家電製品の省エネルギー性能カタログによる情報発信、WEB システム「省エネ製品買換ナビゲーション『しんきゅうさん』」の活用による省エネルギー・低炭素型の製品の買換え、省エネルギー月間の広報など、きめ細かな情報提供及び普及啓発活動等を実施。
・各家庭のライフスタイルに合わせた省エネルギー、省CO2対策を提案し、効果的な対策に結びつける「家庭エコ診断」を引き続き実施し、更なる認知度の向上を図る。

 

2.産業界等に対する周知及び協力要請 
(1)住宅・ビル等関係について
① 住宅・ビル等の省エネルギー対応
 住宅、ビル等の新築、増改築、改修等に当たっては、外壁・窓等を通しての熱の損失の防止を図るため、エネルギーの使用の合理化等に関する法律(省エネ法)に基づく住宅及び建築物の省エネルギー基準を踏まえ、断熱材の利用、設計・施工上の工夫による熱負荷の低減など的確な設計及び施工を行うこと。積極的なエコ住宅の新築や断熱改修等のエコリフォームに努めること。
② エネルギー消費効率の高い機器の選択・購入
 家電機器、OA機器等の購入に当たっては、省エネ法に基づくトップランナー基準の達成状況を示す省エネルギーラベル、及び国際エネルギースターロゴの表示、また、政府、事業者等が提供するエネルギー消費効率に関する情報やスマートライフジャパン推進フォーラムの活動を参考としつつ、省エネルギー性能の高い機器の選択に努めること。

2.運輸関係について
① 運輸分野における省エネ法に基づくエネルギー管理の実施
 旅客輸送事業者、貨物輸送事業者及び荷主においては、省エネ法の判断基準に基づく取組方針の策定など、適切なエネルギー管理を実施すること。
② 公共交通機関の利用促進
 通勤及び業務時の移動並びに休暇におけるレジャー等の人の移動においては、できる限り鉄道、バス等の公共交通機関を利用すること。また、近距離の移動については、徒歩や自転車での移動を図ること。
③ エネルギー消費効率のよい輸送機関の選択
 自動車の購入に当たっては、政府、事業者等が提供するエネルギー消費効率に関する情報を参考として、環境性能に優れた自動車(エコカー)の導入に努めること。貨物輸送に際しては、輸配送の共同化等による積載効率の向上、鉄道や内航海運といった大量輸送機関の積極的活用等、物流の効率化を図ること。
④ エコドライブの実践
 自動車を利用する場合には、エコドライブ10のすすめ(ふんわりアクセル、減速時は早めにアクセルを離す、ムダなアイドリングはしない、タイヤの空気圧を適正に保つ等)の実践、交通渋滞の軽減に資するシステムの利用(VICS及びET C2.0サービスの活用等)等とともに、自動車の利用をできる限り控えることにより省エネルギーに努める。また、バイオマス燃料等温室効果ガスの排出の少ない燃料の選択、使用に努めること。