2016年11月17日

 

 独立行政法人国際協力機構(JICA)と国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構(JAXA)は14日、JAXAの陸域観測技術衛生2号(だいち2号)を用いた熱帯林の伐採・変化の状況のモニタリング情報をインターネット経由で配信するサービス(JJ-FAST(熱帯林早期警戒システム))を13日から始めたことを発表した。

 

 インフラが未整備、治安上の理由、もしくは人員や予算の不足といった課題から十分に森林を監視することができない開発途上国が森林モニタリングの有効な手段としてJJ-FASTを利用することができる。またJICAとJAXAはJJ-FASTの普及を通じて開発途上国の持続的な森林管理を支援するとともに、長期的には森林減少を抑制することによる気候変動の緩和に繋げられるよう取り組んでいくとしている。

 

 今後JJ-FASTについて、世界の熱帯林の伐採・変化の状況を平均して1ヶ月半に1回の頻度で公開する予定である。最初は中南米地域の5ヵ国分のデータから公開し、段階的にアフリカ地域やアジア地域まで対象エリアを拡大していき、最終的には熱帯林を有する世界約60ヶ国のデータの公開を目指すとしている。

 

 JICAとJAXAは、2009年から2012年にかけてブラジルへの支援として、アマゾン地域で「だいち2号」の前号機である「だいち」の観測データを用いて、違法伐採のモニタリングを準リアルタイムで実施していた。「だいち」は雲を透過して森林をモニタリングすることができるため、雨季においても熱帯林を常時監視できる。ブラジルでは、「だいち」を用いた森林監視の結果、2,000件以上の違法伐採を検知し、森林の違法伐採の面積を40%減少させることに大きく貢献していた。