2016年12月2日

 

 国立環境研究所及び気象庁は1日、日本航空の航空機を利用した温室効果ガス観測プロジェクト(CONTRAILプロジェクト)によって、インドのデリー周辺の大気中二酸化炭素濃度が冬季から初春にかけて非常に低い濃度になっていることを観測したと、発表した。

 

 デリー上空の二酸化炭素濃度鉛直分布、二酸化炭素濃度蓄積量のグラフを基にして、インド北部で冬季に栽培される作物(主に冬小麦)によって光合成活動の過程において大量の二酸化炭素が吸収され、低濃度化していると分析。冬小麦が10月から12月までに種をまき、4月から5月にかけて収穫されるものであり、まさに冬小麦の生育時期と一致していることが根拠となっている。またこの地域の陸上生態系が吸収した二酸化炭素の量は、人為放出量の2倍近くに及ぶことも示唆している。

 

 CONTRAILプロジェクトは2005年から展開されていて、日本航空が運航する旅客機に二酸化炭素濃度連続測定装置(CME)を搭載し世界各国の上空のデータを観測している。

 

 今回の結果によって南アジア域における炭素循環の理解が大きく進むと共に、CONTRAILが既存の地上観測ネットワークでカバーされていない広い地域を高頻度に観測していて、今後も民間航空機の活用をさらに推進することで炭素循環の解明に大きく貢献できるとしている。