2016年12月23日 

 

気象庁は21日、2016年における世界と日本の年平均気温が、これまでの最高値を更新する見込みであることを発表した。

 

 2016年の世界の年平均気温偏差(1981~2010年の30年平均値を基準値とし、平均気温から基準値を差し引いた値)は+0.46℃であり、統計を開始した1891年以降では最も高い値となる見込みである。これまでは2015年の+0.42℃が最高であった。世界の年平均気温は、長期的には100年あたり0.72℃の割合で上昇しており、特に1990年代半ば以降、高温となる年が多くなっている。

 

 地域別では、北大西洋や北太平洋の一部地域等で低温となったが、ユーラシア大陸、北米大陸、太平洋熱帯域、インド洋など、広い範囲で顕著な高温となった。また、月別では1~4月及び6~7月、季節別では冬(前年12~2月)、春(3~5月)及び夏(6~8月)の平均気温偏差が統計を開始した1891年以降で最も高い値となった。
 特にシベリア半島においては、本年夏に例年より25℃高い35℃を記録。永久凍土の融解により炭疽菌の胞子が周囲の水や土壌に放出され、食物に入り込み、食物を摂取した人や動物が炭疽症にかかり、死亡事例も発生している。

 

 2016年の日本の年平均気温偏差(1981~2010年の30年平均値を基準値とし、平均気温から基準値を差し引いた値)は+0.88℃であり、統計を開始した1898年以降では最も高い値となる見込みである。これまでは1990年の+0.78℃が最高であった。日本の年平均気温は、長期的には100年あたり1.19℃の割合で上昇しており、世界と同様、1990年代以降高温となる年が多くなっている。

 

 気象庁によると、近年世界と日本で高温となる年が頻出している要因としては、二酸化炭素などの温室効果ガスの増加に伴う地球温暖化の影響が考えられるとしている。また、世界と日本の平均気温は、数年~数十年程度の時間規模で繰り返される自然変動の影響も受けて変動しており、今年の世界と日本の年平均気温が高くなった要因の一つとして、2014年夏から2016年春まで続いたエルニーニョ現象の影響も考えられるとしている。

 

 尚今回の発表における2016年の平均気温は、1~11月までの観測データをもとに、速報としてまとめたもの。2016年の年平均気温の確定値は日本については2017年1月初め、世界については2017年2月初めにホームページで発表する予定であるとしている。