2017年2月25日

 

 NASAは現地時間23日、地球から40光年離れた場所(太陽系外)における赤色矮星のまわりで周回している大きな地球型惑星7個(“トラピスト-1”)について、一部の詳細なデータを明らかにし、そのうち3個については大気の状態からして水が存在する可能性が高く、生物生存可能な“ハビタブルゾーン”の領域にあることを発表した。

 

 2016年5月にチリのトラピスト望遠鏡により発見された今回発表の研究対象である地球型惑星。最初はトラピストによって3つの惑星が発見されたが、その後ヨーロッパ南天天文台の大きな望遠鏡や、NASAのスピッツアー望遠鏡の手助けにより7個全ての惑星の存在が確認された。

 

 スピッツアーのデータにより研究チームが7つの惑星の質量について予測することを始めていた。6個の惑星については質量を予測することに成功し、密度を推定することにつながった。これらの密度の推定によりトラピスト-1は岩石質である可能性があり、これからの更なる観測によりトラピスト-1において水が豊富に含まれるかどうかだけではなく、岩石表面上において水をためることができるかどうかを示すことができるとしている。

 

 まだ質量の特定がされていない1個の惑星及び、他の更なる太陽系外惑星については性質についての予測がされておらず、研究者の間では、それは雪球のような氷質の惑星である可能性があると言われている。

 

 ワシントンにある科学研究チームの主任であるトーマス氏は、「今回の発見が私達の生活を助ける1つのきっかけになり得る」というコメントを発表した。

 

 またバルティモアにある宇宙望遠鏡科学研究機構(Space Telescope Science Institute)のニコル・ルイス氏は今回のトラピスト-1の研究結果について、「地球型惑星の大気の状況を研究する上で大きな機会を与えてくれた。」とコメント。

 

 今後NASAは2018年に“ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡”の打ち上げを予定している。水、メタン、酸素、オゾンその他様々な大気の状況を科学的に検証することを目的としている。将来的な検証結果がトラピスト-1における生物生存可能性の評価につながる重要な要素になり得るとしている。

 

 これまでに太陽系外において7個の地球型惑星を同時に発見することはなく、今回が初めてのことである。赤色矮星の周りにおいては、赤色矮星の温度自体が低いため、周りを周回する惑星では我々の太陽系に比べて、比較的水が存在することができる。またトラピスト-1においては7個の惑星全てが、太陽系でいう太陽と火星の距離の間の中に全て納まっており、周回軌道をしている。よって惑星同士の距離が非常に近い。そして大きな特徴はこれらの惑星は常に同じ面を恒星に向けていることである。したがって、同じ惑星の中においてどちらかが昼、どちらかが夜である状況が永遠に続くことを示しており、昼サイドから夜サイドにかけて強い風が吹くと予想される。

 

 

(C)NASA

*トラピスト-1のイメージ図