7月23日

 

 NASAはアメリカ現地時間21日、ハッブル宇宙望遠鏡によって火星周りで軌道運動する新たな衛星の写真を捉えたと発表した。衛星はフットボールのような形で直径が数十kmであり、火星に比べて星のように見えるくらいの小さなものであるとしている。

 

 

(C) NASA, ESA, and Z. Levay (STScI), Acknowledgment: J. Bell (ASU) and M. Wolff (Space Science Institute)

上写真は火星とその周りを周回する衛星の写真。右の火星に対して左側に位置する衛生は星のように小さい。衛星はハッブル宇宙望遠鏡によって13枚の写真が撮影された。

 

 この“小さな衛星”は火星を7時間39分で1周する。火星の自転時間は1日で24時間40分であるため、1日でおよそ3周することになる。

 

 火星の衛星として過去に“フォボス”(火星の第一衛星で直径数十km)、“ダイモス”と呼ばれる今回発見された衛星と同様に小さなものが発見されている。これらの衛星の写真からは、これらの衛星が火星の重力によって集まった塵が集合してつくられ、火星との衝突によって分裂してできたものであることが推定されている。またフォボスは1年で6.5フィート火星に近づいていて、科学者の間では3000~5000万年の間に火星に衝突、もしくは衝突する前にちりとして分裂して火星の周りのリングになると予想されている。これら2つの衛星の起源はまだ解明されていないが、科学者の間ではこれらの2つの衛星は小惑星として同じ素材でできていて、アステロイドベルト(火星と木星の間にある小惑星が集まる場所)から来ていると考えられている。しかしある科学者はその衛星の安定的でほぼ丸に近い軌道を描いていることから、小惑星として生まれたことに疑問を抱いている。小惑星はたいてい一定の軌道を持たないからである。

 

 今回発見された“小さな衛星”の分析が過去に発見された衛星の起源を解明する手がかりになることが期待される。