12月3日

 

 2017年9月7日(アメリカ現地時間)、NASAはジュノー木星探査機からデータから木星極域における強力なエネルギーを持った電子が強力なオーロラを引き出していることを発見したと発表した。

 

 オーロラは、宇宙から来た電子が惑星磁場に沿って移動しながら、大気中の原子や分子と衝突して発光する現象のことである。

 

 ジュノー木星探査機による紫外線及び電子エネルギーの観測データから、木星の磁場に沿って動く電子が加速されて、400,000evまでエネルギーが上昇していくことを発見した。これは地球で観測される最大のオーロラよりも10~30倍の大きさであるとしている。

 

 木星におけるオーロラはまだ多くの謎が残されている。研究チームの一人であるモーク氏は、木星におけるこれだけ高いエネルギーを持つ電子があるにもかかわらず、オーロラの発生頻度が低いこと、また地球と同じような磁場に沿った電子の加速機構が木星における激しいオーロラの発光現象の源となるには不十分であることが大きな謎であるとしている。その謎にせまる鍵として挙げられるのは、未だによく理解されていない大気の乱流構造による電子の加速機構を解明することである。

 

 今回の結果を受けて、モーク氏はこれらの強力な電子は大変おそれ多いものであり、オーロラを引き出す現象は木星における“放射線帯”を理解する上で一部のストーリーにしかなりえないとしつつも、ジュノー探査機の後継機開発に向けて大きな課題となることを指摘した。宇宙環境の研究、探査機と宇宙飛行士を放射線から守るために、強力な電子を研究することは必要不可欠であるからである。そして木星と地球の電子加速機構を比較することが、惑星における力学がどのようにして成り立っているかの理論を証明することにもつながる。したがって今回の研究成果は大きな課題を指摘する有意義なものである。

 

 

 

(C) NASA

ジュノー探査機によって観測された、木星のオーロラによって発光された紫外線領域の分布を青い点で表示している。

 

 

 

(C) NASA

木星のオーロラをジュノー探査機による紫外線領域において撮影した様子。Inverted-V'sは加速された電子が強いエネルギーを持つことを示している。

 

*2017年12月9日に一部文章を訂正しました。