7月2日
図1 ( C ) ESO/VPHAS+ team. Acknowledgement: CASU
VLT望遠鏡が捉えたSH2-284星雲の姿。まるで笑っている猫のように写っているのが印象的だ。
図2 ( C ) ESO/VPHAS+ team. Acknowledgement: CASU
星雲中心から外側に向けて矢印方向に恒星風が吹いている。恒星風によってガスや塵が吹き飛ばされるが、破線で示したところのように、物質の密度が濃い領域では柱が残る。この柱で新たな星が作られる。
ESOは6月27日、VLT望遠鏡によって撮影されたSh2-284星雲の姿を公開した(図1)。星雲の中にはガスや塵、若い星などで満ちており、新しい星が生み出される。写真全体を見ると、笑っている猫のようにみえるのが印象的だ。
Sh2-284星雲は図1のオレンジやピンクで色づけられた範囲に広がっており、その長さはおよそ150光年である。一角獣座方向約1万5000光年ほどの場所に位置する。また猫の鼻の右下(星雲の真ん中)にはDolidze 25と名付けられた若い星からなる星団が存在する。この星団からは非常に強い放射線や恒星風が出ており、放射線の威力は水素ガスをイオン化するほどのものがある。図1においてオレンジやピンク色で示された箇所は、まさしくこのイオン化された水素ガスのある場所を示している。
また恒星風は星雲の中央部分をくりぬくように吹き出していき、ガスや塵を外側に追い出していく効果がある。この恒星風が物質密度の濃い場所に遭遇すると、物質密度の濃い部分は恒星風に抵抗するように残るが、その周りの部分は恒星風に流されていき、柱状のものが残る(図2)。この柱は写真で見ると小さく見えるが実際には数光年ほどの太さがあり、そこのガスや塵から新たな星が生まれる。