JWSTが捉えたハービッグハロー天体46/47の姿</a>

7月29日

 

 

 

図1 ( C ) NASA, ESA, CSA. Image Processing: Joseph DePasquale (STScI).

JWSTの近赤外線カメラが捉えたハービッグハロー天体46/47の姿。中心に星形成領域が存在し、そこから形の異なる2つのジェットが噴き出している。この天体はできあがってから数千年しか経っておらず、今後どのように星形成が進むか注目されている。

 

 NASAは26日、ジェームズ・ウエッブ宇宙望遠鏡(以下JWST)の近赤外線観測によって捉えられたハービッグハロー天体46/47の写真を公開した(図1)。2つの星形成領域が混合した天体であり、その中心にはオレンジ色と白色の斑点で示した星がひしめく領域が存在する。そこからはピンク色と赤色からなる回折スパイクが出ており、まばゆい光が出ている。この領域にある星はガスや塵を吸収して質量を蓄えながら大きく成長していく段階にある。原始性円盤は確認できないが、その影が2つの暗い円錐領域において確認できる。中心領域からは2つの形が異なるジェットが噴き出しているのが印象的である。我々から見てエッジオン天体であるが、左下のジェットの方が我々に近い方向にあり、右上のジェットは遠く離れた方向を向いている。

 

 ハービッグハロー天体46/47はほ座方向約1470光年の位置にある。できあがってから数千年程度しか経っていない星形成領域であるため、これからどのようにして星形成が行われるかが天文学者の間で注目されている。星形成は完全に形成されるまでに、数百万年程度かかると考えられている。

 

 また写真を見て大きな特徴としてあげられるものは、中心の星形成領域から扇形に火が燃え上がるようなオレンジ色をした2つのジェットが、広がっている様子である。これらのジェットは中心の星形成領域において数千年かけてガスや塵を吸収したり噴出したりすることによってできあがったものであると考えられている。新しく噴き出されたジェットを構成する物質が、古くからある物質と衝突すると、扇形に広がったジェットの形は変化する。ちなみに写真において青く光る部分に最新の噴出物が広がっており、中心の星形成領域から見て2時方向に波打つジェットが広がっていることがわかる。これらのジェットは星形成に深くかかわりがあり、星の質量に大きな影響を与える。青く光る部分に最新の噴出物が広がっているが、ここには密度の濃いガスや塵が存在し、分子雲、ボーク・グロビュール(*注1)が存在する。

 

 中心から広がる大きな2つのジェットを見比べてみると、形が大きく異なっていることがわかる。右上方向に広がるジェットはぼんやりしており、少し離れた所にあるスポンジ状のジェットは触手のようなものが出ている様子がわかる。その一方で、左下に広がるジェットは弧状に広がるがっちりとした形になっていることがわかる。

 

*注1 周囲の分子雲から孤立して存在している小型の分子雲。典型的な質量は太陽質量程度である。質量が太陽質量の十倍程度以上ある大型の孤立したグロビュールを発見者の名前にちなんでボーク(B. Bok)グロビュールと呼び、内部では星生成が進んでいるものもある。