ハッブル宇宙望遠鏡が捉えた「銀河のダンス」

10月28日

 

 

 

図1 ( C ) ESA/Hubble & NASA, J. Dalcanton, Dark Energy Survey/DOE/FNAL/NOIRLab/NSF/AURA
Acknowledgement: L. Shatz.

ハッブル宇宙望遠鏡が捉えた重力相互作用銀河・Arp-madore 2339-661の姿。

 

 NASAは23日、ハッブル宇宙望遠鏡によって捉えられた重力相互作用銀河、Arp-Madore  2339-661の姿を公開した(図1)。Arp-Madore 2339-661はきょしちょう座方向約5億光年先の位置にある。Arp-Madore 天体は特異な銀河を分類するカタログの名前である。図1を見ると、2つの銀河が重力相互作用を起こしているように見えるが、実際には3つの銀河が相互作用を行っており、それぞれの銀河の位置は非常に近いところにある。まるで複数の銀河が近接して同じ相互作用を行っているところから、「銀河のダンス」というタイトルがつけられた。

 

 3つの銀河のうち、左上に写る銀河がNGC7734、写真右下に写る銀河がNGC7733である。NGC7734はNGC7733よりも丸い形をしており、2つの渦巻腕が2つの薄いリングを形成している。NGC7733は平坦な構造をしており、一つの渦巻腕がリングを形成している。そしてNGC7733の渦巻腕の上の方を見ると、こぶのようにダストで覆われた場所がある。これが3つ目の銀河・NGC7733Nである。このこぶはNGC7733を容易に通過してきたと推定されるが、その速度成分を分析すると、NGC7733とは異なる独自の赤方偏移(観測者から遠ざかる方向に進む)成分を持っていることがわかっており、このこぶがNGC7733の一部ではなく、独自で存在するものであることが示唆されるとしている。つまりNGC7733Nは相互作用銀河の一部ではなく、見かけ上相互銀河に重なっているように見えているだけの可能性も残されている。

 

 3つの銀河は非常に近い場所にあり、それぞれの銀河が近接しているところでは、重力によってガスや塵を引きあっている。特にNGC7734とNGC7733の間は暗く写っているが、実際にはこれらの重力相互作用によってできた複数の小さな銀河が、背景に存在する。複数の論文によると、これらの3つの銀河は重力相互作用を行っていることから、将来的に合体し、一つの銀河になることが予測されるとしている。