ハッブル宇宙望遠鏡が捉えた「スパニッシュ・ダンサー・ギャラクシー」

11月4日

 

 

 

写真1 ( C ) ESA/Hubble & NASA, D. Calzetti and the LEGUS team, R. Chandar.

ハッブル宇宙望遠鏡が捉えた中間渦巻銀河・NGC 1566の姿。コンマのような形をした2本の渦巻腕が印象的である。

 

 ESAは10月30日、ハッブル宇宙望遠鏡(HST)が捉えたかじき座方向約6000万光年先にある銀河・NGC 1566の姿を公開した(写真1)。NGC 1566は弱い棒状構造を持ち、通常の渦巻銀河ほどではないものの、しっかりとした渦巻腕を持つ。ちょうど棒渦巻銀河と棒状構造を持たない渦巻銀河の中間の形をしていることから、「中間渦巻銀河」とも呼ばれている。写真を見ると2本の渦巻腕が存在し、初めから終わりまで半回転しかしていないことがわかる。まるで2つの「コンマ」が集まったような形である。この銀河は渦巻腕の巻きつく角度がきつく、躍動感のある渦構造をしていることから、「スパニッシュ・ダンサー・ギャラクシー」の異名を持つ。また渦巻腕にそって塵が黒いレーン上に集まっており、中心付近ではこの黒いレーンが分断され、たくさんの繊維状のものになっていることがわかる。またピンク色で示された部分は、新たな星形成が行われている箇所を示している。

 

 NGC 1566はかじき座銀河群のうちの一つの銀河である。このかじき座銀河群は通常の銀河団とは大きさや質量の点で異なっている。通常の銀河団が数百の銀河団で構成されているところ、かじき座銀河群は数十の銀河しか持たない。この銀河群とよばれるものは、銀河全体の50%を占めているとされている。しかし銀河群と銀河団の定義は未だにあいまいなところがあり、80兆太陽質量以下の質量であれば、銀河群であると定義している天文学者もいる。

 

 かじき座銀河群を構成する銀河は、ここ数十年間で複数の論文によって定義の仕方が異なるため、どの銀河がかじき座銀河群に属しているかは明確になっていないという問題がある。どの銀河がかじき座銀河群に近い場所にあり、みかけ上銀河の大きさ的に近くにあるが、実際には離れている場所にあるなどの情報を収集することで、かじき座銀河群に属する銀河の特定が可能であるとしている。その際、かじき座群に属している銀河は同じような大きさのサイズであると考えられているが、銀河の大きさを測るようなことはしないでも良いとされている。