HSTが捉えたアンドロメダ銀河の渦巻腕にある星形成領域

8月31日

 

 

 

写真1 ( C ) NASA, ESA, M. Boyer (Space Telescope Science Institute), and J. Dalcanton (University of Washington); Image Processing: Gladys Kober (NASA/Catholic University of America).

ハッブル宇宙望遠鏡が捉えたアンドロメダ銀河の渦巻腕にある星形成領域。

 

 NASAは30日、ハッブル宇宙望遠鏡(以下HST)によって捉えたられたアンドロメダ銀河の渦巻腕にある、星形成が活発に行われている領域の写真を公開した(写真1)。写真中央上の光り輝く部分で星が活発に形成され、周りの星間ガスが燃え上がるように巻きひげ状の模様をつくり、全体的にバラのような綺麗な映りになっている。

 

 アンドロメダ銀河(M31とも呼ばれる)は地球からおよそ250万光年離れた場所に位置し、地球に最も近い銀河である。その幅はおよそ152,000光年あり、天の川銀河とほぼ同じ質量を持つ。また天の川銀河とアンドロメダ銀河はおよそ20億~40億年以内に衝突すると予測されている。アンドロメダ銀河はその渦巻腕に特徴的な構造を持っており、銀河の成り立ちを研究する上で重要な天体であるがゆえに、多くの天文学者たちによって研究がなされている。

 

 写真1はHSTに搭載されたACS(Advanced Camera for Surveys)とWFC3(Wide Field Camera 3)が星形成領域を解析すべく、アンドロメダ銀河の渦巻腕の北東部分を撮影した写真であり、星とそのまわりにあるイオン化されたガスが巻きひげ状の模様を描いている様子が明確に写っている。星形成が行われる領域と超新星によってまわりの水素ガスがイオン化され、このようなバラのような模様となる。このような光景は渦巻銀河や不規則銀河では普通にあることではあるが、最近星形成が行われた証であり、天文学者たちにとっては星形成過程を研究する上で重要な資料となる。

 

 今回HSTはアンドロメダ銀河の星形成領域の明確な写真を捉えることに成功し、アンドロメダ銀河の星形成の歴史、多様性を見ることができるが、それにとどまらず、星形成の内部領域、進化過程全体を見渡すことが可能となった。今後は近傍銀河であるアンドロメダ銀河の星形成の研究が天文学者などの間でなされることで、はるか遠くにある銀河の星形成過程も理解されることが期待される。