9月7日
写真1 ( C ) ESA/Hubble & NASA, M. Koss, A, Barth.
ハッブル宇宙望遠鏡/スイフトX線望遠鏡によって捉えられた活動銀河・IC 4709の姿
NASA/ESAは2日、ハッブル宇宙望遠鏡/スイフトX線望遠鏡によって撮影された渦巻銀河・IC 4709の写真を公開した(写真1)。銀河中心が明るく輝いている様子がわかる。また渦巻腕にはたくさんの星があり、塵のある黒い帯、さらには銀河の端にあるハローと呼ばれる領域がかすかに写し出されている様子もわかる。
IC 4709は南半球の星座・望遠鏡座方向およそ2億4,000万光年先にある渦巻銀河である。中心が明るく輝いている様子がわかるが、もしこの銀河中心が単純に星だけの集まりであれば、これほどの明るさにはならない。そこには太陽質量のおよそ6,500万倍もの質量を持つ巨大なブラックホールが存在すると考えられており、銀河周りのガスが回転運動をしながらブラックホールに近づき、このガス同士が衝突、回転運動をしながら熱せられることによって大量の電磁波を放出するため、これほどの明るさになると考えられている。この電磁波は赤外線から可視光線、紫外線、X線と様々な電磁波が含まれている。なおブラックホールの影響によって銀河中心が明るく映る部分は活動銀河核(AGN)と呼ばれ、活動銀河核を持つ銀河は活動銀河と呼ばれる。
IC 4709の活動銀河核まわりは黒い塵の帯で覆われているが、実はこの黒い帯が活動銀河核からの光を遮っている。今回の写真はハッブル宇宙望遠鏡が高解像度であるがゆえに撮影可能となった写真である。今回撮影された写真がIC 4709のように遠方にある銀河の中の超巨大ブラックホールの性質を理解する上で重要な資料となることが期待されている。
また今回の写真は、スイフトX線望遠鏡によって特定された活動銀河核まわりの様子をハッブル宇宙望遠鏡データから抜き出して解析したものである。スイフトX線望遠鏡は塵で覆い隠された活動銀河核からのX線を直接観測できるほど有能であり、今後も活動銀河核におけるブラックホールとそれを取り巻く銀河の詳細な様子を理解するのに必要な情報をもたらすことが期待されている。