11月9日
写真1 ( C ) ESA/Hubble & NASA, O. Fox, L. Jenkins, S. Van Dyk, A. Filippenko, J. Lee and the PHANGS-HST Team, D. de Martin (ESA/Hubble), M. Zamani (ESA/Hubble).
ハッブル宇宙望遠鏡が捉えたセイファート銀河・NGC 1672の姿。
ESAは4日、ハッブル宇宙望遠鏡によって撮影された棒渦巻銀河・NGC 1672の写真を公開した(写真1)。NGC 1672はセイファート銀河(*注1)に分類され、様々な色の光を放出している姿が印象的である。
NGC 1672は南天の星座・かじき座方向およそ4900万光年離れた場所にある。
今回公開されたNGC1672の写真1をみると、通常の渦巻銀河同様に、銀河円盤上に数十億もの星が輝きを放っている様子がわかる。2つの渦巻腕の中では星形成が進んでおり、ピンク色の部分がその場所を示し、暗い赤色の部分は塵の広がりを示している。銀河の中心付近ではできたばかりで温度の高い星が存在し、そのまわりに温度の高いガスのリングが形成され、強力なX線を放射している。また銀河中心には超巨大ブラックホールが存在し、そのまわりにできた降着円盤でできた活動銀河核の影響で強いX線が放射されている。このような特徴を持つNGC 1672はセイファート銀河に分類される。
写真1において最も注目するべきところは、超新星・SN 2017GAXと呼ばれるタイプⅠ型超新星の光である。タイプⅠ型超新星は、星の重力崩壊によって生涯を終えた星の爆発現象、もしくは伴星からの質量降着による爆発現象のことであり、水素線がみられないものを指す。この爆発現象によって放たれる光は数日で消えてしまう。写真1は超新星が起きてから、大分日が経った後の写真であるが、右側の渦巻腕の下にある緑のドットが、超新星が起きた場所を示している。超新星を専門とする天文学者たちにとっては、超新星が起きた星の伴星の性質を調べる上で重要な資料となる。
*注1 活動銀河核を持つ銀河の一種で、1943年にセイファートによって発見された。明るい核と、通常の銀河とは明らかに異なるスペクトルを持つ。セイファート銀河のスペクトルは、可視光から紫外線にわたる青い連続光成分と、電離ガスの様々な原子やイオンからの輝線が特徴である。