1月2日

 

 

 

写真1 ( C ) ESA/Hubble & NASA, D. Thilker.

ハッブル宇宙望遠鏡が捉えた渦巻銀河・NGC 2566の姿。

 

 NASAは12月16日、ハッブル宇宙望遠鏡(以下HST)によって捉えられた渦巻銀河・NGC 2566の写真を公開した(写真1)。全体的に楕円形をしており、目のように見えるのが印象的である。

 

 NGC 2566は、とも座方向およそ7,600万光年離れた場所に存在する。銀河円盤真ん中には、やや赤みがかった黒色に見える塵に沿って、光り輝く棒構造が存在し、棒構造の先端からは2つの渦巻腕が伸びている。渦巻腕はそのまま銀河円盤の縁に沿って存在する様子がわかる。また渦巻腕に沿って星形成領域が存在し、青色や赤色に光り輝く斑点で示されている。私達からみると銀河円盤の軸が少し傾いているため、全体的にアーモンドのような楕円形をしている。また銀河真ん中は青く輝いており、全体的に目のような形をしている。

 

 NGC 2566が私達をじっと見てきたように、天文学者たちはHSTによってその銀河内にある星団や星形成領域をじっと見てきた。HSTは紫外線や可視光線の光を明確に捉えるのに優れていて、これらの観測データから、銀河の中にある年齢が数百万年程度の星の特徴を捉えることができると考えられている。天文学者たちはこれらのデータを利用し、NGC 2566の中にある星の年齢や、星形成の成り立ち、星形成領域やその中にある星たちにおけるガスのやり取りを捉えることを目指している。

 

 NGC 2566はHST以外にも様々な望遠鏡によって観測がなされてきた。そのうちの一つであるジェームズ・ウエッブ宇宙望遠鏡(以下JWST)は、HSTによる観測を補完する役割があり、NGC 2566の温かくて光り輝く塵の様子を赤外線観測によって捉えてきた。またアルマ望遠鏡では、ミリ波・サブミリ波という長い波長によって星形成が行われる領域のガスの様子を詳細に捉えてきた。

 

 今後HST、JWST、アルマ望遠鏡によって宇宙全体にある銀河の星の成り立ちや死にゆく様子が捉えられることが期待されている。