1月26日

 

 

 

写真1 ( C ) NASA, ESA, CSA, K. McQuinn (STScI), J. DePasquale (STScI).

ジェームズ・ウエッブ宇宙望遠鏡が捉えた、しし座方向にある矮小銀河・Leo Pの姿(写真右下)。

 

 ESAは17日、ジェームズ・ウエッブ宇宙望遠鏡(以下JWST)の近赤外線カメラ(NIRCam)によって撮影されたしし座方向にある矮小銀河・Leo Pの一部分が写る写真を公開した(写真1)。背景銀河に比べて、青い星が多く集まっており、とても美しい姿をしているのが印象的である。

 

 矮小銀河・Leo Pは星形成過程にある銀河であり、しし座方向およそ500万光年先にある。ある研究チームが、Leo Pに存在する星の成り立ちを調べるために、Leo Pの中にあるおよそ15,000個の星のデータを集めて解析を行った。その結果、最初にLeo Pでは爆発的な星形成が行われ、その後星形成の休止期間が数十億年ほど続き、再び星形成が行われるようになり、現在に至るという過程を描くことができたとしている。

 

 写真1はJWSTの近赤外線カメラ(NIRCam)によって撮影された写真であり、青色は0.9マイクロメートルの光、緑色は1.5マイクロメートル、赤色は2.77マイクロメートルの光を示している。写真1の右下に、背景にある銀河と比べて青色に光る星で集まった矮小銀河・Leo Pの一部分が写し出されている。なぜこのように青く光り輝いているかというと、Leo Pのような星形成活動を行う銀河では、若くて巨大質量を持つ星たちが多く存在しており、主に青色で光り輝くからであるとしている。またもう一つの理由として、水素やヘリウムよりも質量の重い元素が少なく、金属量の少ない星が多く集まっているためであるとしている。このような金属量の少ない星たちは金属欠乏星と呼ばれ、太陽に比べて青く光り輝く。また写真1の中心下部分に泡構造のようなものがあるが、暖かく巨大質量を持つO型星(*注1)の周りでイオン化された水素が多く集まる領域であるとしている。

 

*注1 ハーバード分類で表面温度の系列に属する最も高温な星であり、表面温度は~45,000K以上。質量は太陽質量のおよそ25~120倍ある。