2月8日
写真1 ( C ) NASA, ESA, I. Pasha (Yale), P. van Dokkum (Yale).
ハッブル宇宙望遠鏡によって撮影されたブルズアイ銀河・LEDA 1313424の姿。
Imad Pasha氏(イェール大学・アメリカ)を中心とする研究グループは4日、ハッブル宇宙望遠鏡とW.M.ケック天文台の観測によってブルズアイ銀河・LEDA 1313424の詳細な姿を捉えることに成功したと発表した(写真1)。ブルズアイとは、ダーツの的のように見えるという意味であり、通常の渦巻銀河とは異なり、はっきりとした円形のリングで構成された姿が印象的である。さらに研究グループは、青い矮小銀河がLEDA 1313424の中心部をすり抜けてリングが形成されたことも明らかにした。Imad Pasha氏は「今回の発見は、掘り出し物に出会ったようなものだ」とコメントし、その喜びを伝えている。
ブルズアイ銀河・LEDA 1313424の直径はおよそ25万光年であり、天の川銀河の大きさ10万光年と比較しておよそ2.5倍ある。
今回研究チームが行ったハッブル宇宙望遠鏡とケック天文台の観測によって、LEDA 1313424のリングが鮮明に写し出され、9つのリングが発見された(写真1)。このうち8つのリングはハッブル宇宙望遠鏡によって発見され、もう一つのリングはハワイにあるW.M.ケック天文台の観測データの解析によって発見された。これまでに発見されたブルズアイ銀河のリング数は最大で2~3個であるため、これを大きく上回ることになる。また何の銀河がLEDA 1313424に衝突してリングが形成されたのかが明らかになった。それは青い矮小銀河であり、写真1のLEDA 1313424のすぐ左隣に位置している。この青い矮小銀河が、ダーツが放たれたように5,000万年前にLEDA 1313424の中心部分をすり抜け、池に石を落としたときに広がる波紋のようにリングを形成したとしている。そしてこのリングの内側と外側に物質が供給され、星形成領域ができあがったと研究チームは推論する。銀河同士が衝突、近接遭遇することはよくあることであるが、もう一方の銀河の中心をすり抜けていくのはとても珍しいことである。
また研究チームは、LEDA 1313424のリング間隔がこれまでに予測されてきた理論モデルと一致していることが驚くべき発見だと伝えている。リング間隔は外側に行くほど大きくスペースが空き、中心にいくほど短くなっているとしている。これは池に石を落としたときに広がる波紋と同じ原理である。
現在は青い矮小銀河が、LEDA 1313424を通過した際の跡として残る薄いガスによって、2つの銀河は結ばれており、2つの銀河間の距離は13万光年である。
今後研究グループはリング中にある星について、どの星が青い矮小銀河が通過する前もしくは通過した後に存在したかを区別することを目標に掲げている。またLEDA 1313424が数十億年という期間を経て、どのように形成されてきたか、今後どのような姿になっていくのか、またもっと多くのリングが存在するのかどうかを調査していくとしている。