3月2日

 

 

 

写真1 ( C ) ESA/Webb, NASA & CSA, A. Leroy.

JWSTが捉えた棒渦巻銀河・NGC 2283の姿。

 

 ESAは2月28日、ジェームズ・ウエッブ宇宙望遠鏡(以下JWST)の近赤外線観測装置(NIRCam)及び中間赤外線観測装置(MIRI)によって撮影された棒渦巻銀河・NGC 2283の姿を公開した(写真1)。ガス雲や塵の姿が赤色やオレンジ色、黄色などの様々な色によってしっかりと写っており、これらが渦巻き腕を形成していることがわかる。渦巻き腕には星団も潜む。

 

 NGC 2283はおおいぬ座方向約4,500万光年先に位置する。銀河中心部の棒構造は、緩やかに曲がった渦巻き腕で囲われている。

 

 今回公開された写真は、JWSTのNIRCam及びMIRIによって撮影された写真であり、たった10分間の撮影で、異なる波長帯の近赤外線フィルターによる4つのスナップショットを組み合わせて得られた。使用された波長帯の近赤外線フィルターでは、若い星たちによって熱せられた水素ガス雲から放たれる光や、多環芳香族炭化水素から放たれる光を捉えることが可能である。写真1を見ると、ガス雲や塵が様々な色でしっかりと写り、渦巻き腕を形成している様子がわかる。またガス雲がこぶ状に写っていることは、冷たい水素ガスが星形成に利用されていることを示唆するとしている。また写真中の回折スパイクを出すほど明るく輝く大きな星は、我々観測者とNGC 2283の間にある。

 

 星形成銀河内では、度々重力崩壊型の超新星が起きる。2023年にはNGC 2283において、SN 2023AXUと呼ばれる超新星が起きた。この超新星は、Ⅱ型超新星と呼ばれる少なくとも太陽質量のおよそ8倍以上ある星が重力崩壊によって爆発し、水素の吸収線が表われる現象に分類された。そして超新星が起きた時に、ガスが数百光年という距離に及ぶ場所まで放り投げ出される。これらのガスは、酸素やナトリウムという星の形成に必要な元素を含んでいる。これらのガスを材料にして、長い年月をかけて再び新しい星が生まれるというサイクルが、銀河内で繰り返されている。

 

 今回の観測は、活発な星形成を行う近傍銀河における星とガス、塵の関係を理解するためのプログラムとして行われた。観測対象は局所銀河群のうちの55の銀河としており、NGC 2283はそのうちの一つである。またこれらの銀河は、個々の星団やガス雲が目に見えるほど私たちから近い場所にある。