3月15日
写真1 ( C ) ESA/Hubble & NASA, S. J. Smartt, C. Kilpatrick.
ハッブル宇宙望遠鏡が捉えた棒渦巻銀河・NGC 4900の姿。
NASA/ESAは10日、ハッブル宇宙望遠鏡(以下HST)によって撮影された棒渦巻銀河・NGC 4900の写真を公開した(写真1)。渦巻腕は、青い斑点と塵がある場所を示す黒い糸状のもので構成されているが、崩れたような形をしている。また回折スパイクを出すほどの明るく輝く星がNGC 4900の左上に存在し、まるで大きな星が銀河の中にあるような印象的な写真であるが、実は星とNGC 4900は遠く離れた場所にある。
棒渦巻銀河・NGC 4900はおとめ座方向およそ4,500万光年離れた場所にある。また4つの回折スパイクを出すほどの明るく輝く星は、天の川銀河内にあり、地球からおよそ7,109光年離れた場所に位置する。そのためこの2つの天体はとても遠く離れた場所にある。またNGC 4900はSN 1999brと呼ばれる超新星(星の重力崩壊による爆発現象)が存在し、天文学者にとって格好の研究対象となっている。
写真1はHSTに搭載された観測装置であるAdvanced Camera for Surveys(2002年に運用開始され現在もなお運用中)とWide Field and Planetary Camera 2(1993~2009年まで運用)によって得られたデータを解析してできた写真である。この2つの観測装置の運用期間は、HSTの運用期間と同じであり、今回公開された写真は、HSTのこれまでの功績を象徴するような写真といっても過言ではない。またこれらの2つの観測装置による巨大星の死を意味する超新星の研究が、爆発現象を起こす星の質量を見積もることや、超新星がまわりの環境に対してどのような影響を及ぼすかを調査することを目的として行われた。
またHSTの他のプログラムによって、将来的には150の近傍銀河における超新星の観測・研究が行われる予定であり、超新星が起きる前の星を特定することで、超新星がいつ、どのようにして、なぜ起きるのかの謎に迫っていくことが期待されるとしている。