7月19日

 

 

 

写真1 ( C ) ALMA(ESO/NAOJ/NRAO)/M. McClure et al.

アルマ望遠鏡とJWSTが捉えた太陽系外惑星系の原始星HOPS-315の姿(写真真ん中)。原始星から蝶の羽のように広がるオレンジ色の領域には、一酸化炭素が広がる。原始星から青いジェットが出ているが、この青い部分に惑星のもととなる一酸化ケイ素が存在する。

 

 Melissa McClure氏(ライデン大学教授・オランダ)を中心とする国際研究チームは16日、アルマ望遠鏡とジェームズ・ウエッブ宇宙望遠鏡(以下JWST)を用いた観測により、若い原始星・HOPS-315周りの原始惑星系円盤において、温かいガス状にある一酸化ケイ素が集まっている様子を捉えることに成功したと発表した(写真1)。このことは惑星形成の初期段階を捉えたことを意味しており、実際にその様子が捉えられたのは今回が初めてである。今回の観測成果は、我々が住む太陽系の成り立ちを調べる上で貴重な資料となるとしている。

 

 今回観測対象となった太陽系外惑星は、地球からおよそ1,300光年離れた場所にあるHOPS-315と呼ばれる原始星周りにある。HOPS-315は生まれたばかりの太陽に似た星であり、このような原始星まわりではしばしば、原始惑星系円盤と呼ばれるガスの円盤が存在する。他の原始惑星系円盤では、新しい惑星が発見されており、新しくできたばかりのものや、巨大なもの、木星型惑星などが発見されてきた。

 

 太陽系では、地球誕生プロセスとして、まずは現在ある地球の近くで固形物が集中していたことが、隕石の調査からわかっている。このような固形物の年齢を決めることで我々が住む太陽系がいつ形成され始めたのかを特定することができる。このような隕石は一酸化ケイ素を含む水晶体からなる鉱物に包まれており、若い原始惑星系円盤のように周りが高温な環境でも集まることが可能である。長い年月をかけて固形物同士がくっつき、まずはkmサイズの微惑星ができあがる。そしてどんどん成長していき、地球や木星の中心部のような構造ができあがってきたと考えられている。

 

 今回研究チームはアルマ望遠鏡とJWSTを用いてHOPS-315を観測した結果、原始惑星系円盤において、一酸化ケイ素がガスの状態で集まっている様子を捉えることに成功した(写真1)。このことは今後この一酸化ケイ素が固形化し始め、惑星形成につながることを意味している。共同研究者であるEdwin Bergin氏(ミシガン大学・アメリカ)は、「このような様子が捉えられたのは、太陽系外にある原始惑星系円盤の中では初めてである」と驚きの様子を伝えている。

 

 また共同研究者であるMerel van’t Hoff氏(パデュー大学・アメリカ)は、「今回の発見は太陽系における惑星の成り立ちを証明する上で貴重な資料となる。また惑星の形成初期の様子を理解することにつながる」とコメントしており、あらゆる惑星の成り立ちの様子を理解することにつながることが期待される。