2月14日

 

 

写真1 ( C ) ESA/Hubble & NASA, B. Balick (University of Washington).

ハッブル宇宙望遠鏡の赤外線観測によって捉えられた原始惑星状星雲・CRL 2688の姿。卵の形をした星雲から、2本のジェットが吹き出し、そこから派生したガスの波紋が青色の光で示されている。

 

 ESAは10日、ハッブル宇宙望遠鏡(以下HST)の赤外線観測によって撮影された、原始惑星状星雲・CRL 2688の写真を公開した(写真1)。真ん中に卵の形をした、塵で構成された原子惑星状星雲があり、そこから横方向に2本のジェットが吹き出ている。その姿から卵星雲とも呼ばれる。そして星雲周りに、青色で示された波紋が広がっているのが印象的である。今回の観測によって、CRL 2688の形成過程が解き明かされることが期待されている。

 

 卵星雲・CRL 2688は、はくちょう座方向約1,000光年離れた場所にある。原子惑星状星雲の中で一番最初に発見された天体であり、これまでに発見されたものの中で最も若くて、地球から近くにある原始惑星状星雲である。1997年にHSTに搭載されたWFPC2カメラの可視光線観測によって初めて観測された。しかしこの天体が、周りのガスをイオン化し、光り輝くほどの熱量を持たないがために、その正体を正確に捉えることができていなかった。

 

 原始惑星状星雲の真ん中には、炭素が豊富な死にゆく星が存在し、この星は太陽のような星の進化過程の最終段階一歩手前にある。CRL 2688は、原始惑星状星雲が形成される段階の初期状態にあり、真ん中にある死にゆく星からジェットが放出される。そして星周りに形成される塵の円盤によってジェットの光が反射され、写真1中の横方向に伸びる2本のビームとして写し出されている。このような光が見られるようになったのは数百年前であると考えられている。また死にゆく星から塵が放出され、太陽系のような惑星系の材料となり、将来的に惑星が形成されていく。また死にゆく星自身は白色矮星となる。

 

 一般的に、太陽のような星が、水素やヘリウムガスを放出すると外層部分が輝き、むき出しになった星の中心核は、周りのガスをイオン化する。このようにして惑星状星雲が形成される。惑星状星雲として有名なものには、らせん星雲や、アカエイ星雲、蝶々星雲がある。卵星雲は惑星状星雲の一歩手前の段階にあり、この状態が数千年続くと考えられている。

 

 写真1は、HSTに搭載されたWFC3カメラの赤外線観測によって2012年に観測されたデータと、追観測データを組み合わせて作成されたものである。写真1を観ると、卵星雲の横方向に明るく光る2つの丸い突出部が存在するが、これは真ん中にある星と連星系を成す伴星との重力相互作用によるものであると考えられている。そして中心からは、水素分子で構成された素早く動くジェットを放出している。このジェットは写真1中でオレンジ色の光で示されている。また卵星雲周りに同心円状の青い波紋が広がっている。この波紋はガスで構成され、ジェットから生み出されたものである。この波紋は数百年間隔で作られており、卵星雲中心にある星の重要な性質を示してくれる。

 

 今回の観測結果によって、惑星状星雲の形成過程が理解され、星から出るジェットの仕組みも理解されることが期待されるとしている。