2月28日

 

 

写真1 ( C ) ALMA(ESO/NAOJ/NRAO)/S. Longmore et al. Background: ESO/D. Minniti et al.

アルマ望遠鏡が観測した天の川銀河中心にあるガス雲・CMZの姿。満月3個分の大きさに相当する。一酸化硫黄がシアン色、一酸化珪素が緑色、イソシアン酸(CHNO)が赤色、シアノアセチレン(C_3_HN)が青色、一硫化炭素がマゼンタ色で示されている。

 

 Steve Longmore氏(リバプール・ジョン・ムーア大学・イングランド)を中心とする国際研究チームは25日、ESO(ヨーロッパ南天天文台)等で運用するアルマ望遠鏡を用いた観測により、天の川銀河中心にあるガス雲の詳細な姿を捉えることに成功したと発表した(写真1)。星形成の基となる冷たいガスの様子を捉えるとともに、フィラメント構造が詳細に写し出されている。天の川銀河中心には超巨大ブラックホールが存在するが、その付近の過酷な環境において、星がどのように成長してきたかを理解する上で重要な研究成果であるとしている。

 

 天の川銀河中心にあるガス雲は、Central Molecular Zone、略してCMZとして、注目を集めてきた。この領域には密度の高いガスや塵が存在し、近くには超巨大ブラックホールが存在する。また、一般的に星形成は、フィラメント構造に沿って流入する冷たいガスが重力収縮することによって行われるが、CMZ領域においては、この星形成が活発に行われていると考えられている。Steve Longmore氏は「CMZは、天の川銀河において最も星形成活動が行われており、早くにその生涯を終え、強力な超新星を起こす。」とコメントしている。

 

 今回の撮影は、ACESプログラム(ALMA CMZ Exploration Survey)の一環として行われた。このプログラムによって、様々な波長帯によって観測される分子や一酸化珪素などの複雑な分子を捉えることが可能である。そしてCMZにおける超新星が起きるような過酷な環境において、どのようにして星が形成されるのかの理解につながることが期待された。

 

 今回研究チームはアルマ望遠鏡によって天の川銀河中心にある650光年以上に及ぶCMZ領域を観測した。その結果、写真1のような詳細なCMZを捉えることに成功した。この写真に写るガス雲はおよそ満月3個分の大きさであり、かつてないほどの広大な領域が撮影された。一酸化硫黄がシアン色、一酸化珪素が緑色、イソシアン酸(CHNO)が赤色、シアノアセチレン(C_3_HN)が青色、一硫化炭素がマゼンタ色で示されている。

 

 将来的に現在建設中のESOのELT望遠鏡によって、CMZのより詳細な姿が捉えられ、もっと複雑な分子構造が捉えられることが期待されるとしている。研究チームの1人であるAshley Barnes氏(ESOの天文学者)は、「今後CMZに存在する星やガス、近くにあるブラックホールとの関係性をもっと探っていきたい」とコメントしている。

 

 

写真2 ( C ) ALMA(ESO/NAOJ/NRAO)/S. Longmore et al. Stars in inset: ESO/D. Minniti et al. Milky Way: ESO/S. Guisard.

今回撮影されたCMZの天の川銀河における位置。