3月14日

写真1 ( C ) ESO/D. Ribeiro for the MPE GC team.
ESO(ヨーロッパ南天天文台)のVLT望遠鏡に搭載された多波長観測器・ERISによって撮影された、天の川銀河中心にある超巨大ブラックホールいて座Aスター周りの様子。新たなガス雲・G2tが発見された。
Stefan Gillessen氏(マックス・プランク地球外物理学研究所)を中心とする研究チームは9日、ESOのVLT望遠鏡を用いた観測により、天の川銀河中心にある超巨大ブラックホール・いて座Aスター周りの新たなガス雲・G2tを発見したと発表した(写真1)。これまでに発見されたガス雲G1、G2と合わせてこれらの軌道の解析を行った結果、これらのガス雲が連星系・IRS16SWによって放出されたガス雲であることを示唆する結果が得られたとしている。
今回観測対象となった天の川銀河中心にある超巨大ブラックホール・いて座Aスターは、地球から約27,000光年離れた場所に位置する。このブラックホール周りには星やガス雲が存在するが、ブラックホールの強大な重力によってばらばらに破壊される過酷な環境下にある。
これまでにいて座Aスター周りにおいて、ガス雲G1、G2が発見されていた。これらのガス雲の中で星が誕生しているかどうかが長年の疑問とされていた。
今回研究チームがVLT望遠鏡に搭載された多波長観測器・ERISを用いていて座Aスター周りを観測した結果、新たなガス雲・G2tを発見することに成功した。またERISでは3次元でのガス雲の軌道を観測することが可能であり、過去に発見されたガス雲G1、G2と併せて軌道確認を行った結果、これらのガス雲がほとんど同一軌道を描いていることが判明した。異なる3つの星がブラックホール周りでほとんど同一軌道を描く確率が低いため、3つのガス雲の中に星が存在する可能性はほとんどないとしている。また研究チームは、いて座Aスター周りにIRS16SWという連星系が存在し、3つのガス雲がこの連星系から放出されたものである確率が高いと推測している。