3月28日

 

 

写真1 ( C ) NASA, ESA, STScI, W. Blair (JHU). Image Processing: J. DePasquale (STScI).

ハッブル宇宙望遠鏡が撮影したかに星雲の最新の姿。

 

 ESAは26日、ハッブル宇宙望遠鏡(以下HST)によって2024年に撮影された最新のかに星雲の姿を公開した(写真1)。カラフルな画像に魅了されるが、色は局所的な温度を示しており、化学組成や密度を確認することも可能である。写真1の青色で示された場所は、エネルギーが高く、密度が低い場所を示している。緑色で示された場所には密度の高い酸素分子が存在し、黄色の場所では多くのイオン化された硫黄が存在する。

 

 かに星雲は、おうし座方向約6,500光年離れた場所に位置する。約1,000年前にはSN 1054(1054年に発生した超新星)と呼ばれる超新星の影響で光り輝く天体として観測されており、その光は1週間ほど続いていた。これは中国の記録「宋史」「天文志」や日本の藤原定家の日記「明月記」に記録が残されている。1999年には、HSTによって超新星残骸で構成されたかに星雲の詳細な姿が捉えられた。

 

 実はかに星雲における超新星残骸は18世紀頃に発見されており、1950年代にはEdwin Hubbleによっても観測が行われている。Edwin Hubbleは、かに星雲の中心部に潜む高速回転をする中性子星であるパルサーを発見している。このパルサーがかに星雲の拡大化に大きく影響していると考えられている。

 

 今回のHSTの観測によって、かに星雲におけるフィラメント構造の詳細な姿が捉えられた(写真1)。色で局所的な温度を示しており、ガスの密度や化学組成についても詳細な結果が得られた。またかに星雲におけるフィラメント構造が、25年前の撮影時よりも外側に大きく動いており、その速度は時速550万kmになることが判明した。フィラメント構造の外側への移動は、かに星雲の周辺部にいくほど大きくなるとしている。これはかに星雲中心部におけるシンクロトロン放射によって駆動されたパルサー風が影響しているとしている。シンクロトロン放射は、パルサーにおける磁場とかに星雲の物質の相互作用によって起きる現象であり、周りのフィラメントを熱して輝かせることが可能である。

 

 また今回の観測によって、かに星雲の3次元構造の新たな特徴を捉えることに成功した。フィラメント構造の陰がかに星雲の中心部において見ることができ、逆に明るく輝くフィラメント構造には陰がないことがわかった。このことはフィラメント構造がかに星雲の中心部から遠く離れた場所にあることを示している。

 

 今回HSTによる「かに星雲」の最新の詳細な姿が公開されたが、近赤外線で観測が可能なジェームズ・ウエッブ宇宙望遠鏡によって2024年に観測が行われている。これらのデータを組み合わせて、かに星雲ができあがった原因といえる超新星の影響などについての理解が進むことが期待されるとしている。