5月30日

 

 

写真1 ( C ) ESA/Hubble & NASA, D. Thilker and the MAUVE-HST Team.

ハッブル宇宙望遠鏡によって撮影されたおとめ座銀河団の中にある渦巻銀河・M88の姿。

 

 ESAは29日、ハッブル宇宙望遠鏡(以下HST)に搭載されたWFC3によって撮影された、かみのけ座方向約6,300万光年離れた場所に位置する渦巻銀河・M88の写真を公開した(写真1)。斜め方向から写っているが、真ん中が明るく輝き、そこから伸びる渦巻腕の巻き方がきつく、綺麗に外側に向かって伸びている様子がわかる。

 

 M88の真ん中が輝いている理由は、中心に超巨大ブラックホールが存在し、ガスや塵を重力で集めることによってそれらが重力収縮し、解放された重力エネルギーが放出されるためである。このブラックホールは、太陽質量の約1億倍の質量を持っていると推定されており、垂直軸方向にガスの流れであるジェットを放出していると考えられている。このように中心がブラックホールの影響で光り輝く銀河は、活動銀河と呼ばれる。

 

 またM88はおとめ座銀河団と呼ばれる、1,000以上もの銀河が重力相互作用によって集まった銀河団のうちの一つの銀河であり、M88自体もおとめ座銀河団の内側(中心から約200万光年離れた場所)を周回運動している。おとめ座銀河団の中心には、M87と呼ばれる強大な重力を持つ銀河が存在し、この影響によってM88が銀河団内を周回運動する際にラム圧を受けて、銀河外側表面のガスが剥ぎ取られていくようになる。そして雪が積み上がるように、外側表面のガスは圧縮される。したがって銀河の大きさから想定される星の材料となるガスの量は少なく、星形成活動が妨げられている。

 

 写真1を見ると、渦巻腕の中にピンク色の領域と青色の領域があることがわかる。ピンク色の領域は星形成が活発に行われている場所を示し、青色の領域には若い星が散りばめられており、星団も存在する。