7月11日

 

 

写真1 (C) NASA, ESA, CSA, STScI. Image Processing: A. Pagan (STScI), J. Depasquale (STScI), M. Garcia Marin (ESA Office at STScI).

ジェームズ・ウエッブ宇宙望遠鏡の中間赤外線観測装置・MIRIによって撮影された電波銀河・Centaurus Aの姿。

 

 ESAは6日、ジェームズ・ウエッブ宇宙望遠鏡(以下JWST)の中間赤外線観測装置・MIRIによって撮影された電波銀河・Centaurus A(NGC 5128)の写真を公開した(写真1)。真ん中にピンク色と紫色のS字構造があり、その周りが平行四辺形状の塵で覆われていることが特徴的である。今回得られた観測データを基に、銀河中心部にある超巨大ブラックホールとどのように相互作用をしているかを研究することが、銀河形成過程の謎を解き明かすことにつながるとしている。

 

 電波銀河・Centaurus Aは、地球からケンタウルス座方向約1,100万光年離れた場所に位置する。中心部には超巨大ブラックホールが存在し、周りにあるガスをどんどん吸収していき、ジェットを放出する。電波銀河とは、通常の銀河よりも多くの電波を放出する銀河のことであるが、このブラックホールの影響が寄与している。このブラックホールの強大な重力の影響により、約20億年前に2つの銀河が衝突し、Centaurus Aが誕生したと考えられている。今でも衝突は続き、いびつな構造を形成するとともに、星形成が活発に行われている。

 

 これまでにハッブル宇宙望遠鏡の可視光線によるCentaurus Aの観測が行われたことがあったが、中心部が塵で覆われており、詳細な様子が捉えられたことはなかった。

 

 今回のJWSTの撮影によって、Centaurus Aの詳細な様子が捉えられ、中心部にピンク色と紫色に光るS字構造が存在し、平行四辺形状の塵で覆われていることが判明した。またその周りをカーテンが覆うような構造となっている。特にこのS字構造がどのようにして形成されたのかが疑問としてあがり、ブラックホールもしくは銀河同士の衝突の影響でできたものかを確かめる必要があるとしている。

 

 また今回の観測ではスペクトル観測も行われ、イオン化されたガスが、ブラックホールによる影響で速く外側に向かっている様子が捉えられるとともに、暖かい水素分子が銀河中心付近に多く存在することが判明した。この観測データから、ブラックホールが銀河全体にどのような影響を及ぼしているかが確かめられるとしている。またブラックホールが星形成に必要なガスの圧縮をするものの、物質を外側に追いやって星形成活動を阻害するという複雑な構造をしており、銀河形成過程にどのような影響を及ぼしてきたかが解明されることが期待される。