8月8日

写真1 (C) ESA/Hubble & NASA, D. Thilker, J. Lee and the PHANGS-HST Team.
ハッブル宇宙望遠鏡によって撮影された、おとめ座銀河団の中にある渦巻銀河・NGC 4654の姿。
ESAは7月24日、ハッブル宇宙望遠鏡によって撮影された渦巻銀河・NGC 4654の写真を公開した(写真1)。写真左下はしっかりと渦を巻いているが、右上はガスが剥ぎ取られ、渦構造をしていない。これは周りのガスのラム圧が影響しているとしている。渦巻腕に沿って存在するピンク色の領域は、星形成活動が活発に行われている様子を示している。
NGC 4654は、おとめ座方向約7,200万光年離れたおとめ座銀河団の中に存在する銀河であり、棒渦巻銀河と棒構造を持たない渦巻銀河の中間の性質を持つ銀河であり、弱い棒構造を持つ。NGC 4654が、おとめ座銀河団の中にある銀河間ガスの中を高速移動する際にラム圧を受け、銀河の進行方向にあるガスは圧縮され、外側に引き出され、長く伸びた形になる(写真右上)。また星の数が、写真左下の渦巻腕に対して極端に少ないようにみえるため、この銀河はいびつな構造をしているといえる。このような形になる別の要因として、他の銀河との重力相互作用が影響していると考えられている。その銀河はNGC 4639であり、約5億年前に、2つの銀河が近接遭遇することによって、NGC 4654のガスが剥ぎ取られ、星形成活動が制限されるとともに、写真のような非対称な形になったと考えられている。
通常ラム圧を受けた銀河では、星の材料となる冷たいガスが失われるが、NGC 4654では毎年太陽質量換算で2つの星が形成されていると考えられており、他の同じような大きさの銀河と同じくらい星形成が行われている。
今回の観測は銀河間ガスと星形成の関係性を捉えるためのプログラムの一環として観測が行われた。新たに形成された星周りのイオン化されたガスから放出される赤い光を捉えることによって、星形成活動を捉えることに成功した。今後のデータ解析によって、銀河間ガスが銀河周りでどのようにして動き、銀河中の星形成活動にどのような影響を与えるか、また新しく星が形成された場合にどのように周りのガスに影響を与えるかの理解が進むことが望まれるとしている。