8月22日

 

 

画像1 (C) NASA, ESA, Joseph Olmsted (STScI).

天の川銀河とLKHと呼ばれる矮小銀河が、約118億年前という遠い昔に衝突した痕跡が発見された。画像はそのイメージ図。右が天の川銀河、左がLKHを表している。

 

 Davide Massari氏(ボローニャ天体観測所/イタリア)を中心とする国際研究チームは17日、ハッブル宇宙望遠鏡(以下HST)の観測によって得られた、天の川銀河の内側領域約20,000光年の範囲における39もの球状星団のデータを解析した結果、天の川銀河が約118億年という遠い昔に、矮小銀河と衝突した証拠を得ることに成功したと発表した。球状星団に含まれる多様な星の年齢や金属量の詳細を確かめることによって、他の銀河の星が取り込まれた形跡が確かめられ、今回の研究成果に至った。天の川銀河の形成史を紐解く上で重要な研究成果であるとしている。

 

 天の川銀河は数千億個の星を持つ巨大な渦巻銀河であるが、かつてはもっと小さなサイズであったと考えられている。他の銀河との衝突によって得られたダークマターを中心として、ガスから星が形成され、どんどんそのサイズを大きくしていった。直近に行われた衝突は約60億年前に行われた、いて座矮小銀河との衝突であるとされており、現在も衝突中である。そのもっと昔約100億年前には、Gaia-Sausage-Enceladusと呼ばれる矮小銀河との衝突があったと考えられている。この2つの衝突は、天の川銀河の星形成円盤の構造に大きな影響をもたらした。またこの2つの衝突の時期の間に、複数の小さな衝突が行われた。

 

 今回研究チームがHSTのデータを解析した結果、この2つの衝突よりももっと前、118億年前(ビッグバンが起きた20億年後)にLKH(Low-energy-Kraken-Heracles)と呼ばれる矮小銀河との大きな衝突があった証拠を発見することに成功した。天の川銀河内側領域にある39もの球状星団の観測データを解析した結果である。球状星団は天の川銀河で最も古い星が存在し、金属量やその星の年齢をHSTの観測データから詳細に読み取ることができた。また共同研究者のChiara Zerbinati氏は「ESAのGaiaデータも活用することによって、これらの球状星団の星の構成を確認することができた。これらの球状星団に含まれる星がどの程度LKHからもたらされたかどうかを把握することができるようになり、LKHがどの程度の大きさだったかを把握することも可能である」とコメントしている。

 

 また研究チームは、LKHに含まれる星の数について、太陽質量に換算した場合、およそ5億個ほどの星が存在していたと推測した。

 

 研究チームは引き続き天の川銀河の中にある球状星団を観測することによって、天の川銀河の形成史を紐解いていくとしている。