9月5日

 

 

写真1 (C) ESA/Hubble & NASA, D. Gouliermis.

ハッブル宇宙望遠鏡が捉えた大マゼラン雲内にある星雲・N44の姿。

 

 ESAは3日、ハッブル宇宙望遠鏡(以下HST)によって撮影された大マゼラン雲内にある星雲・LHA 120-N44(以下N44)の写真を公開した(写真1)。真ん中がすっぽり穴が空いた、青色もしくは灰色の塵の星雲が写し出されており、この穴は「巨大な泡」と呼ばれる。巨大な泡にオレンジ色や青色の星がたくさん集まってできた星団が存在する。

 

 大マゼラン雲は、天の川銀河周りを軌道運動する伴銀河であり、地球から約16万光年離れた場所に位置する。今回撮影された星雲・N44は、かじき座(南天の星座)方向にある。

 

 今回公開された写真1に巨大な泡が写し出されているが、およそ縦210光年、横140光年ほどに広がっている。このような構造になるのは、巨大な泡で作られた複数の巨大星から出る強大な星風や、超新星によって出た多量のガスによって、周りの星雲を吹き飛ばすからである。吹き飛ばされた星雲は、周りにガスの殻構造を作り上げ、ここでまた新たな星が形成される。また写真1右上に、N44Fと呼ばれる「小さな泡」も存在する。この構造は、1つの巨大な星の星風によってできたものであると考えられている。

 

 今回のHSTによる観測は、N44の内部にある星団の詳細を確認するために行われ、約50万個ほどの星の動きを観測することに成功した。その中の3万個ほどの星は、水素の核融合反応が進む前の前主系列星(pre-main-sequence stars)にある原始星である。N44は、星形成課程を研究する上で、天文学者の格好の対象となっている。N44の星団を研究することで冷たいガスが重力収縮によってつぶれ、新たな星形成が行われる課程を理解し、その課程がどのくらいの期間であるかを理解することにつながるとしている。またN44の存在するLMCは、ヘリウムの質量を超える金属量に乏しい銀河であるため、初期宇宙の銀河の形成過程理解にもつながるとしている。