10月3日

 

 

写真1 (C)ESA/Webb, NASA & CSA, L. Furtak, S. Fujimoto.

ジェームズ・ウエッブ宇宙望遠鏡によって撮影された、重力レンズ効果を受けた銀河団(上から左にかけての弧状の光)と重力レンズ天体(金色に輝く楕円銀河で構成された銀河団)の姿。

 

 ESAは9月29日、ジェームズ・ウエッブ宇宙望遠鏡(以下JWST)によって撮影された、初期宇宙銀河が重力レンズによって光が曲げられた姿を捉えた写真を公開した(写真1)。上から左にかけてオレンジ色に輝く弧状の光が、初期宇宙銀河の姿であり、宇宙の始まりであるビッグバンから約20億年頃に誕生した銀河団であるとしている。この初期宇宙銀河の光を曲げている重力レンズ天体は、MACS J0454.1-0300と呼ばれる銀河団であり、写真1中に広がる金色に輝く楕円銀河で構成されている。

 

 重力レンズ効果は、遠方天体と観測者の間に強大な重力を持つブラックホール等が存在する場合に表われる。この強大な重力を持つ天体はレンズ天体と呼ばれ、レンズ天体が遠方天体の光をレンズの円接線方向に引き延ばすように曲げ、増光する。増光効果があることから、例えば初期宇宙という遠くからやってきた光など微かな光しか出さない天体の光を捉えることが可能である。今回の例でいえば、MACS J0454.1-0300がレンズ天体であり、この天体も宇宙年齢約80億年と比較的若い部類に入る。

 

 今回撮影された写真1中にある重力レンズ効果を受けた銀河団は、実は異なる2つの銀河団で構成される。1つのグループはビッグバン発生から約20億年後に存在する銀河団、もう一つはビッグバン発生から8億年後に存在する銀河である。この2つの銀河団は将来的に合併し、多量の星形成活動を行うと考えられている。

 

 また写真1中には、重力レンズ効果を受けている領域に明るい塊のような姿が捉えられており、5光年ほどの長さに伸びている。この天体は300倍ほどの増光効果を受けているとしている。