10月24日

 

 

写真1 (C)ESA/Webb, NASA & CSA, E. Sabbi, M. Zamani (ESA/Webb).

JWSTによって撮影された星形成領域・N159の姿。

 

 ESAは22日、ジェームズ・ウエッブ宇宙望遠鏡(以下JWST)によって撮影された星形成領域・N159(LHA 120-N 159)の一部の写真を公開した(写真1)。この写真の領域の長さは、230光年ほどである。塵やガスで構成された星雲の中に、青色で示された大きなくぼみがあり、その中央に赤褐色のフィラメント構造がある。このフィラメント構造の中で星形成活動が活発に行われている。

 

 N159は天の川銀河の伴銀河である大マゼラン雲内にあり、地球から約161,000光年離れた場所にある星形成領域である。中では冷たい水素分子ガスが重力収縮し、新しい星を形成している。これらの星は巨大で高温であり、強い紫外線を放出する。この強い紫外線が周りの水素ガスをイオン化しており、この領域はH Ⅱ領域と呼ばれる。

 

 写真1を見ると、写真中央にくすんだオレンジ色をした雲のうねりが見られる。その中に明るいオレンジ色をした部分が見られるが、これは炭素化合物の材料ともなる多環芳香族炭化水素がある場所を示している。青色をした領域はH Ⅱ領域を示しており、中央を走る赤褐色のフィラメント構造は、冷たい水素分子で構成されている。このフィラメントが強い放射線や恒星風を遮り、中で新しい星形成活動が行われている。またフィラメント構造の部分をよく見ると、青色の領域に向けてオレンジ色の柱構造が見られる。最終的にはフィラメント構造はなくなり、中でできた星だけが残るようになる。

 

 N159の存在する大マゼラン雲は、金属量(水素やヘリウムよりも重い元素)が天の川銀河よりも少なく、宇宙形成初期の環境を良く再現している。そのため、N159の星形成過程を調査することは、宇宙初期の星形成過程を理解することにつながるとしている。