3体問題の8の字解

 

 上のアニメーションは3つの物体が重力相互作用によって、どのような軌道運動をするかをシミュレーションしたものです。特に上のアニメーションではそれぞれの物体が8の字解を描いていてやや閉じ気味の軌道を運動しています。

 

 このような軌道は8の字解として2001年にシモによって発表されました。今回のシミュレーションでは3物体の質量は同じであるとして、初期位置は青い物体が(-1,0) 、赤い物体が(0,0) 、緑色の物体が(1,0)であるとしています。そして初期速度は真ん中の赤い物体が

 

x方向の速度:0.7494421910777922289898659

y方向の速度:1.1501789857502275024030202

 

と設定して、青い物体と緑色の物体のx方向とy方向の速度が、赤い物体とは逆方向で大きさが半分の値となるように設定しています。これはシモが発見した8の字解の初期値の値です。

 

 そしてオイラー方程式を用いて重力相互作用の方程式を数値積分してアニメーション化しました。

 

 おおむね3物体が8の字解を描いて軌道運動をしている様子がわかります。重力相互作用のみ考慮して運動をしているため、それぞれの物体が近づいたときに速く運動をしていることもわかります。

 

 8の字になる解析解はまだ得られていませんが、確かに8の字が存在するという証明はなされています(3体が一時的に8の字の特徴である二等辺三角形をつくることから)。

 

 初期位置を青い物体が(-0.85,0) 、赤い物体が(0,0) 、緑色の物体が(0.85,0)とすると以下のようなアニメーションになります。

 

 

 

 最初のアニメーションよりしっかりと閉じた軌道になっていますね。初期値によっていろいろな軌道を描きます。初期値を変えると、物体が衝突して閉じた軌道にならないパターンも存在します。

 

 3体問題に限らず、より多くの物体の重力相互作用を考慮した運動の問題はN体問題と呼ばれ、現在でももちろん多くの研究がなされています。