回転による密度構造

 

上の画像は回転体(銀河や球状星団)において、重力ポテンシャルが微小な振動成分を持つときに、密度振動がどのような構造を持つかを3次元プロットしたものです。重力ポテンシャルはプラマーモデルを用います。実際の回転体の密度構造は、本来の密度構造と密度振動成分を足し合わせた構造になっています。画像を見ると、外側の表面近くしか映っていないため、どのような密度振動が起きているかわかりづらいです。そこでこの球面体の赤道面を次の画像で見てみましょう。

 

 

 

真ん中付近において、きれいな渦構造をしていることがわかります。このような渦は、熱的平衡状態にある球体が、回転運動をしており、速度分散の非等方性があるときに生じます。このような密度振動のspiral patternが渦巻銀河の構造を作り出すことが示唆されています。

 

これらの密度振動の構造は、回転体が回転に応じた微小な密度振動から求められるresponse matrix、M(ω)と呼ばれる行列式の固有ベクトルが関わっています。この固有ベクトル×密度(球面調和関数が基本となる密度式)の値は複素数となり、この複素数の実数(real)部分をとったものが、上のdensity perturbation(密度振動)となっています。なお球面調和関数(l=2、m=2)の密度は以下の画像の通りです。

 

 

このような綺麗な形をした球面調和関数に固有ベクトルをかけあわせると、回転体における密度構造の正体がわかるのです。

 

なお最初の画像の子午面(xz平面)は以下のようになっています。

 

 

このような密度振動の描像を描くために、まずは動径方向に対する密度構造とポテンシャルの振動成分を求めます。

 

次のページでそれを確認しましょう。

 

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