上のアニメーションはz軸まわりの円(cosθ,sinθ,z)に質点を置いて、z軸方向に重力波が通過した際に質点がどのようにして動くかをシミュレーションしたものです。断面を見てみると、質点は以下のような動きをします。

 

y軸方向に質点が中心から外側にかけて離れるように動くと、x軸方向にある質点は外側から中心に向かって落ち込んでいく様子がわかります。

 

 そもそも重力波とは、重力が弱いものとしてアインシュタイン方程式を近似した際に現れた波動方程式の解を示しています。つまり重力を伝える波動です。弱重力場の方程式は

 

g μν = η μν + h μν

時空=不変な媒質(ミンコフスキー計量)+変化する媒体(時空の波動)

 

として表され、右辺第2項が波動性を持っていることが、様々な条件を課すとわかります。この波動解から重力波の偏光テンソルが求められ、シミュレーションで現れた重力波の動きをするのです。

 

重力波はもともと理論的には立証されていましたが、2015年9月にLIGO(ライゴと読み、アメリカの電波干渉計のこと。)によって初めて観測されました(”【レポート】時空のさざ波~重力波で探る宇宙”を参照)。この観測結果は一般相対性理論の考え方を裏付けるものとなったとともに、宇宙物理学の様々な謎を解明するうえでとても重要な出来事となりました。