回転による密度構造

上の画像は2次元の球対称時空において、中心力が働いている物質に対して回転が加わったときに密度構造がどのようになっているのかを示した画像です。青色が濃いほど密度が高くなっていることを示しており、高密度の部分が8の字をした形になっていることがわかります。

 

 まず2次元の球対称時空において動径方向に対する密度分布を考えています。物質に対して重力による中心力が働き、平衡状態に落ち着くと、物質がちょうど1次元調和振動子ポテンシャル中で運動している場合の密度分布となります。

 

この動径方向密度分布は、

 

ρ = 1 - r2

 

です。そして次に回転が加わったときの物質分布の回転に対する密度分布というものを考えていきます。重力ポテンシャルが与えられたときに、ポアソン方程式を考えると、その方程式の解が動径方向成分と回転成分に分けられることが、量子力学や数学の世界で明らかになっています。さらにいうと回転成分はルジャンドル多項式と呼ばれるもので展開することが可能です。こうして回転による密度振動というものが導入されることで、最終的な密度構造が上のような画像になるのです。

 

また時間が経過すると、8の字の構造が以下のように回転していきます。

 

t=πのとき

 

 

t=2πのとき

 

球対称に分布する物質が、回転運動が加わることによって平衡状態に達するとこのような8の字構造ができあがるのは、現実的に想像することは難しいですが、とても面白い現象であると思います。数学や量子力学の知識を使うことで、このような回転による描像が明らかになるのです。