8月7日

 

 

 ポルトガル・ポルト大学のOlivier Demangeon氏を中心とする国際研究グループは5日、VLT望遠鏡に搭載されたESPRESSO(分光観測機器)を使ってL98-59太陽系外惑星系を観測し、惑星の視線速度の情報を解析した結果、主星(惑星系の中心にある恒星)のまわりをまわる岩石型惑星のうち、一番軽い惑星が金星質量の半分程度であることが判明したと発表した。また主星に最も近い3つの惑星は、生命を維持するほどの水の海と大気が存在する可能性があることがわかった。今回の研究成果は、太陽系外惑星系において、生物生存可能性を示す重要な成果であるとしている。

 

 太陽系以外において地球のような生命あふれる惑星を探すことは現代天文学の重要な課題である。生命の維持に欠かせないファクターとして、惑星に大気が存在するかどうかがあげられる。しかし惑星の大気を観測するには高解像度の天体望遠鏡が必要であり、現在存在する天体望遠鏡では解像度の問題から大気を直接観測することができない。

 

 今回観測対象となったL98-59太陽系外惑星系は地球からわずか35光年ほどのところにあり、地球や金星と同じように主星(惑星系中心にある恒星)から程よく温められるほどの岩石型惑星を持つことから、大気の観測を行うのに適していると考えられている。

 

 研究チームは太陽系外惑星系の生物生存可能性を調査すべく、ESOのVLT望遠鏡を用いてL98-59の観測を行った。その結果、主星(惑星系の中心にある恒星)のまわりをまわる岩石型惑星のうち、一番軽い惑星が、金星質量の半分程度であることが判明したと発表した。VLT望遠鏡に搭載されたESPRESSO(分光観測機器)によって測定された視線速度情報を基にして、惑星がまわりの惑星からの重力によってどれだけふらついているかを測定し、質量を特定することにつながった。さらに3つの惑星において惑星の地中、もしくは大気に水を含むことが判明した。主星に最も近い2つの惑星は乾燥しているが、微量の水を含んでいる。一方で主星から3番目に近い惑星は水の海を作ることができるほどの水が存在することが判明した。

 

 さらに研究チームは今回の観測によって、L98-59の惑星系においてこれまでに見つかったことがない第4の惑星を確認することに成功した。、また第5の惑星が存在する可能性があると指摘している。この2つの惑星は地表面に水が液体として存在できるほどの、主星から適した距離に位置しているとしている。

 

 

( C ) ESO/M. Kornmesser

L98-59のイメージ図。今回の観測では主星のまわりで4つの惑星を確認し、第5の惑星が存在する可能性があることを示した。