球状星団NGC1904の速度分散分布図がKing modelに一致

3月19日

 

 

 

( C ) NASA HST

ハッブル宇宙望遠鏡によって撮影されたNGC1904球状星団。うさぎ座方向約41000後年に位置し、直径はおよそ118光年。15万個ほどの恒星で構成される。

 

 イタリア・国立天体物理学研究所(INAF)のSilvia Leanza氏を中心とする国際研究チームは15日、ESOのVLT望遠鏡を用いた観測プログラム(MIKiS)の観測データとESAのGaia EDR3の固有運動のデータを基にして、NGC1904(M79)球状星団を解析した結果、NGC1904の速度分散分布や回転に関する力学的特徴を捉えることに成功したと発表した。研究チームはNGC1904の中心から0.3秒角(1秒角は約3.26光年)~770秒角の間の距離にあるおよそ1700個の星の視線速度などのデータを解析し、東西方向に沿った回転軸(傾斜角は視線方向に対して約37度傾いている)があることを見つけ出した。回転軸から球体の外側にかけて速度分散は徐々に減少していくが、球体中央にある最大値の速度分散が6km/秒であるのに対して、最小値は回転軸から70秒角ほどにある場所においておよそ1.5km/秒であることがわかった。またNGC1904における中心からの距離における速度分散値がおよそ古典的な理論モデルであるKing modelに従ったものであることが判明した。これらの結果からNGC1904は初期にあった角運動量をほとんど失ったとても古くから存在する天体であると研究チームは結論付けた。

 

 NGC1904はうさぎ座(オリオン座の南に位置する)方向約41000光年離れた場所にある球状星団であり、約150000個ほどの星で構成される。直径は約118光年であると考えられている。

 

 今回研究チームはNGC1904の速度分散分布図を作成すべく、ESOのVLT望遠鏡に搭載された複数の機器を用いたNGC1904の観測データを解析した。その結果、NGC1904の速度分散が球体中心において6km/sであるのをピークにして、外側にかけて徐々に減少し、回転軸から70秒角ほどにある場所において最小値、1.5km/sの値をとることが判明した。また回転速度に関しては、中心から80秒角の距離において2km/sの値をとることが判明した。球状星団中心からの距離に応じて回転速度がどのように変化するかをグラフにしたものをRotation curveというが、このRotation curveが1967年にLynden-Bellによって発表された解析関数とおよそ一致することもわかった。

 

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