JWSTが太陽系外惑星の直接撮像に成功

9月3日

 

 

 

図1 ( C ) NASA/ESA/CSA, A Carter (UCSC), the ERS 1386 team, and A. Pagan (STScI)

ジェームズ・ウエッブ宇宙望遠鏡(JWST)の赤外線観測(4バンド)によって撮影されたHIP65426 b太陽系外惑星の姿。左から紫色の光が波長3マイクロメートル、青色が4.44マイクロメートル、黄色が11.4マイクロメートル、赤色が15.5マイクロメートルの光である。星印はコロナグラフによって光が除去された主星(太陽系外惑星系中心にある星)の位置を表す。左2つの画像は近赤外線観測により撮影されたものであるが、天体の上下にあるバー構造は望遠鏡上のみかけの構造であり、実際の天体ではない。

 

 NASA/ESA/CSAは1日、ジェームズ・ウエッブ宇宙望遠鏡(JWST)の中間赤外線観測(4バンド)によってHIP65426 bと呼ばれる太陽系外惑星の直接撮像に成功したと発表した(図1)。エクセター大学(イギリス)のSasha Hinkleyを中心とするチームによって観測が行われた。この太陽系外惑星は巨大ガス惑星であり、岩石表面を持たないことから生物生存性はない。今後高性能なJWSTによってその他の様々な太陽系外惑星の姿が明らかになっていくことが期待されるとしている。

 

 HIP65426 b太陽系外惑星はケンタウルス座方向、385光年の距離にある恒星HIP 65426のまわりを公転する天体であり、ハッブル宇宙望遠鏡によって以前にも直接撮像による観測がなされていた。2017年にESOのVLT望遠鏡によって赤外線観測による観測もなされている。その質量は木星質量の6~8倍程度の質量であり、年齢が1500万~2000万年と比較的若い惑星である。

 

 HIP65426 b太陽系外惑星はこれまで非常に観測が難しい天体とされていた。それは主星(太陽系外惑星の惑星系中心にある星のこと)の光に比べて近赤外線ではおよそ10000倍、中間赤外線では数千倍暗い天体だからである。

 

 今回観測チームは、JWSTに搭載された高性能な近赤外線カメラ(NIRCam)と中間赤外線観測(MIRI)によってHIP65426 b太陽系外惑星の直接撮像に成功した(図1)。これらのカメラにはコロナグラフと呼ばれる、主星からの光を除去するシステムが備わっている。図1において左から紫色の光が波長3マイクロメートル、青色が4.44マイクロメートル、黄色が11.4マイクロメートル、赤色が15.5マイクロメートルの光である。星印はコロナグラフによって光が除去された主星の位置を表す。HIP65426 bが主星から地球-太陽間距離のおよそ100倍以上離れているため、主星からの光と区別することが容易であることも今回の成功の要因の一つであるとしている。

 

 観測チームの一員であり、画像の解析に携わったカリフォルニア大学のAarynn Carter氏(ポストドクター研究員)は「今後JWSTによって太陽系外惑星の観測が進み、太陽系外惑星に関する物理学、化学、進化過程の理解が進むことになるだろう。またこれまでに発掘されていなかった太陽系外惑星が見つかるかもしれない」と今後の期待についてコメントしている。