JWSTによって相互作用銀河の衝突部分が鮮明に映し出された

10月29日

 

 

 

図1 ( C ) ESA/Webb, NASA & CSA, L. Armus & A. Evans;CC BY 4.0 Acknowledgement: R. Colombari

ジェームズ・ウエッブ宇宙望遠鏡に搭載された赤外線観測装置によって撮影された相互作用銀河IC 1623 A,Bの姿。衝突部分が明るく輝き、回折スパイクも見られる。

 

 

 

図2 ( C ) ESA/Webb, NASA & CSA, L. Armus & A. Evans;CC BY 4.0 Acknowledgement: R. Colombari

過去にハッブル宇宙望遠鏡によって捉えられた相互作用銀河IC 1623 A,Bの姿。可視光線で捉えられたこの写真では、衝突部分はガスに覆われてよく見えていなかった。

 

 NASA/ESA/CSAは25日、ジェームズ・ウエッブ宇宙望遠鏡(以下JWST)の中間赤外線観測装置(MIRI)と近赤外線観測装置(NIRCam)によって撮影された相互作用銀河IC 1623 A,Bの姿を公開した(図1)。この相互作用銀河はお互いの銀河が重力によって引きつけられ衝突段階にあり、衝突部分がとても明るく輝いており、雪の結晶のように、中心から8方向に回折スパイクが伸びている様子もわかる。図2はハッブル宇宙望遠鏡の可視光線によって過去に観測された画像であるが、衝突部分はガスに覆われており、中心部分の様子を鮮明に捉えることができていなかった。

 

 相互作用銀河IC 1623 A,Bは、くじら座方向約2億7千万光年離れた場所にあり、衝突段階にある銀河である。衝突によってスターバーストと呼ばれる爆発的な星形成を起こし、天の川銀河における星形成の約20倍ほどの速さで星形成が行われると考えられている。またスターバーストによって大量の赤外線を放射し、銀河同士の衝突によって巨大ブラックホールを形成するとも考えられている。この衝突銀河は長い間、天文学者によって研究が行われてきた。

 

 今回JWSTに搭載されたMIRI、NIRCamの観測によってIC 1623 A,Bの詳細な姿が捉えられた(図1)。この画像を作成するにあたり、ハッブル宇宙望遠鏡(HST)などの他の宇宙望遠鏡のデータも利用されている。HSTの可視光では衝突部分がガスで覆われて(図2)、内部がどうなっているのかを捉えることができなかったが、JWSTの赤外線観測によって、内部の明るい部分を捉えることが可能となった。

 

 今後も引き続きJWSTと他の宇宙望遠鏡のデータを利用して、相互作用銀河IC 1623 A,Bの内部構造が明らかになっていくことが期待されている。