VLT望遠鏡によって捉えられたコーン星雲の姿

11月12日

 

 

 

図1 ( C ) ESO

VLT望遠鏡に搭載されたFORS2観測装置によって撮影されたコーン星雲の姿。

 

 ヨーロッパ南天天文台(ESO)は10日、ESO設立から60周年(1962年10月5日設立)を記念して2022年初めにVLT望遠鏡に搭載されたFORS2(大きな領域を多波長で観測)によって撮影された、コーン星雲の姿を公開した(図1)。FORS2と呼ばれるフィルターでは、水素ガスが青色で表示され、硫黄ガスが赤色で表示されており、最近形成された青色に明るく輝く星は、金色のように見える。

 

 コーン星雲はいっかくじゅう座方向およそ2500光年弱の距離にある、柱の高さが7光年ほどの角状の形をした星雲であり、1784年にウィリアム・ハーシェルによって発見された。また星形成領域であるNGC2264天体の一部でもある。コーン星雲内には冷たいガスや塵が存在し、新たな星を作っている。このようなタイプの柱上の星雲は、大きな質量を持つガスや塵で構成されていると考えられており、明るく輝く青色の星を作るとともに、この星から星風や紫外線が吹き出し、星周りの物質を吹き飛ばすと考えられている。これらの吹き飛ばされた物質が、遠くの若い星から出るガスや塵と混ざり合い濃縮されると、暗くて高さのある柱状の星雲ができあがると考えられている。

 

 コーン星雲は地球から近い距離にあることもあり、天文学者の間でよく研究されているが、これまでの観測では星雲部分が暗くて、その中身を見通すことができていなかった。

 

 今回VLT望遠鏡によって鮮明なコーン星雲の姿が捉えられたが、現在建設中のELT望遠鏡によって、より詳細なコーン星雲の姿が捉えられることが期待されている。

 

 

図2 ( C ) ESO, IAU and Sky & Telescope

コーン星雲はいっかくじゅう座方向にある。この図で示された黒い点は気象条件が良ければ肉眼でみることのできる星を表しており、赤い丸で囲まれたところにコーン星雲が存在する。

 

 

図3 ( C ) ESO/Digitized Sky Survey 2. Acknowledgement: D. De Martin

デジタルスカイサーベイによって捉えられたNGC2264の可視光画像。真ん中にはクリスマスツリー星団が写っており、その下にコーン星雲の姿が写し出されている。