渦巻銀河NGC7469の活動銀河核とスターバーストリングが捉えられた

12月24日

 

 

 

図1 ( C ) ESA/Webb, NASA & CSA, L. Armus, A. S. Evans

ジェームズ・ウエッブ宇宙望遠鏡のMIRI(中間赤外線観測装置)、NIRCam(近赤外線観測装置)によって捉えられた渦巻銀河NGC7469の姿。中心に活動銀河核があり、そこから約1500光年離れた場所にあるスターバーストリングによって囲まれている。6本の回折スパイクも印象的である。

 

 NASA/ESA/CSAは21日、ジェームズ・ウエッブ宇宙望遠鏡(以下JWST)によって捉えられた星形成活動を行う渦巻銀河、NGC7469の姿を公開した(図1)。今回の観測によってNGC7469にとても若い星形成活動を行う星団が含まれていることや、わずかな分子ガスの乱流、数百光年以内に起きた粒子の崩壊現象の直接的証拠を得ることに成功したとしている。このことは活動銀河核が明らかにまわりの環境に影響を与えることが示唆される。さらに活動銀河核からイオン化された原子ガスが1時間に640万kmの速さで宇宙空間に逃げ出していることも判明した。今回の観測結果はNGC7469の環境を理解する上でとても重要な成果である。

 

 NGC7469はペガサス座方向約2億2千万光年離れた場所にあり、直径がおよそ9万光年のフェイスオン銀河である。また中心には明るく輝く活動銀河核が存在する。この活動銀河核中心に存在するブラックホールが塵やガスを吸収することにより放たれるエネルギーが、明るく輝く光の源である。

 

 NGC7469においては、活動銀河核から約1500光年離れた場所に星の爆発的形成が行われるリング(スターバーストリング)が存在するため、天文学者が活動銀河核と星の爆発的形成の関係を研究する上で格好の対象となっている。しかしNGC7469はガスや塵で覆われているため、その姿を観測することは容易でなく、高い精度や解像度のある赤外線観測が行われることが望まれていた。

 

 今回のJWSTによるMIRI(中間赤外線観測装置)、NIRCam(近赤外線観測装置)の観測によって、NGC7469の活動銀河核や、スターバーストリングの詳細な姿が捉えられた(図1)。6方向に伸びる回折スパイクも特徴的だろう。このNGC7469銀河はGOALSと呼ばれるプロジェクトチーム(ハッブル宇宙望遠鏡やスピッツアー宇宙望遠鏡、チャンドラX線望遠鏡などによる観測で200を超える銀河団を研究するプロジェクト)によって、NGC7469における星の形成活動や、ブラックホールの成長、NGC7469まわりの4つの銀河からなる衝突銀河のフィードバックなどの研究が行われている。今回GOALSチームがJWSTの観測データを解析した結果、NGC7469にとても若い星形成活動を行う星団が含まれることや、わずかな分子ガスの乱流などを発見することに成功した。今回のJWSTによる観測は驚くべきデータを与えてくれたとしている。