ハッブル宇宙望遠鏡によって撮影された矮小不規則銀河・UGC7983の姿

1月21日

 

 

 

図1 ( C ) ESA/Hubble & NASA, R. Tully; CC BY 4.0.

ハッブル宇宙望遠鏡によって撮影された矮小不規則銀河・UGC7983の姿。左上には小隕石の通過した跡も写っている。

 

 NASA/ESAは20日、ハッブル宇宙望遠鏡(HST)によって撮影された矮小不規則銀河・UGC7983の姿を公開した(図1)。UGC7983銀河は、写真中央に広がるもやのようなものであり、楕円の形をしている。その前景にはとても明るく輝くいくつかの星が、回折スパイクを出して写っている。UGC7983銀河はおとめ座方向約3000万光年の場所に位置しており、宇宙初期における銀河の典型的な例であると考えられている。

 

 矮小銀河はサイズと質量が小さな銀河の総称であり、UBV測光によるBバンドでの絶対等級が-18程度よりも暗いものをいう。矮小不規則銀河はこの矮小銀河のうちの1つであり、一般的な矮小不規則銀河は、他の銀河から孤立しており、大量のガスを保有している。また他の銀河からの干渉を受けずに進化してきたがために、きわめて単純な構造をしていると考えられている。

 

 また図1左上をみると、数キロメートルにわたって小隕石が通過した跡が写っており、色違いの4つの線が間隔を空けて写っている様子がわかる。間隔を空けて写っている理由は、この画像を撮る際にフィルターを使い分けて撮影しており、フィルターの切り替えのタイミングで切れ目が発生するためである。このような小隕石の軌跡が写るというのは、とても幸運なことであり、天の川銀河近傍の銀河をHSTによって観測し続けた成果でもある。最初にハッブル宇宙望遠鏡によって天の川銀河近傍の75%の銀河がHSTによって観測されたが、残りの25%がある天文学者のグループによって観測提案が行われ、それが実現した。

 

 今回の観測成果は天の川銀河近傍の銀河の性質を理解する上でとても重要であるとしている。