JWSTが捉えた渦巻銀河・LEDA 2046648の姿

2月4日

 

 

 

図1 ( C ) ESA/Webb, NASA & CSA, A. Martel

ジェームズ・ウエッブ宇宙望遠鏡によって撮影された渦巻銀河LEDA 2046648の姿(写真下の大きく写る銀河)。背景には多数の銀河や回折スパイクを6方向に出す明るく輝く星の姿が写っている。LEDA 2046648渦巻銀河の下にはサイズがおよそ1/4くらいの渦巻銀河の姿も写っている。

 

 NASA/ESA/CSAは1月31日、ジェームズ・ウエッブ宇宙望遠鏡(以下JWST)の近赤外線観測装置・NIRCAMによって撮影された渦巻銀河、LEDA 2046648の姿を公開した(図1)。この銀河はヘラクレス座方向10億光年を少し超えたあたりの場所に位置する。写真を見ると、多数の銀河や6方向に伸びる回折スパイクが印象的な星が背景に写っており、写真下の方に大きく映るLEDA 2046648の姿が写っていることがわかる。またその下には、実際にはこの銀河よりも遠い場所ではあるが、完全に自立したおよそ1/4ほどのサイズの銀河も写っていることがわかる。

 

 JWSTは天文学者たちが銀河の進化や化学組成などを理解するべく、これまでに観測されてこなかった地球よりはるか遠くに離れた銀河の赤外線観測を行っている。これまでに観測されてきた比較的地球から近くにある銀河と、JWSTによって観測された遠方銀河を比較することで、銀河がどのように成長し、どのような構造を持つかを理解することにつながる。またJWST望遠鏡は銀河内の金属量を明らかにすることが可能であり、金属量の比率を確認することで、銀河がどのようにして進化してきたかを理解することにもつながる。

 

 JWSTには近赤外線観測装置・NIRCAM、中間赤外線観測装置・MIRIと呼ばれる観測装置が備わっている。また近赤外線観測の画像化装置とスリットなし分光観測装置を合わせてNIRISSと呼ばれる観測プログラムが用意されている。今回はNIRCAMによって図1のようなヘラクレス座方向10億光年を超えるところにある渦巻銀河を観測することに成功し、NIRISSによってこの渦巻銀河の観測サポートを行った。今回の観測は白色矮星WD 1657+343を観測する際に得られたものである。天文学者たちはNIRCAMとNIRISSのデータを比較することで渦巻銀河の特徴を理解することにつなげることができるとともに、NIRISSの観測精度を今回の観測によって確かめることができたことに大きな手ごたえをつかんでいる。