ハッブル宇宙望遠鏡が捉えた「クラゲ銀河」JW100

3月25日

 

 

 

図1 ( C ) ESA/Hubble & NASA, M. Gullieuszik and the GASP team.

ハッブル宇宙望遠鏡によって撮影された「クラゲ銀河」JW100の姿(右下)。他の楕円銀河と銀河団を構成しており、ラム圧によってクラゲ銀河の姿となる。

 

 NASA/ESAは24日、ハッブル宇宙望遠鏡のWFC3カメラで撮影された「クラゲ銀河」JW100の画像を公開した(図1右下)。銀河円盤からペンキが垂れてできる線のようなものが見えるが、これは銀河からラム圧によってはぎとられたガスや塵の流れを表している。はぎとられたガスや塵の流れがまるでクラゲの触手のように見えることから、「クラゲ銀河」と名付けられた。

 

 JW100はペガスス座方向約8億光年先にある銀河である。この銀河は図1において、まわりに写る楕円銀河と共に銀河団を成しており、銀河間には星形成の材料となるガスや塵が存在する。銀河団の中を銀河が移動すると、ラム圧と呼ばれるガスや塵の密度と銀河の移動速度の2乗に比例する力を受ける。このラム圧を受けた銀河から、ガスや塵がはぎとられて図1のようなクラゲの触手のような姿となる。

 

 また図1の左上にはクラゲ銀河を含む銀河団の中心に位置するIC5338銀河が存在する。このIC5338を見ると中心に2つの明るく輝く部分が存在する。IC5338はcD銀河と呼ばれる巨大楕円銀河に分類され、その明るさは天の川銀河の10倍以上にもなる。銀河団の重力ポテンシャルの底に位置することから、周りから銀河やガスを降着しながら成長したものと考えられている。明るく輝いている領域の外縁に点が連なっているが、この部分には球状星団が存在すると考えられている。

 

 今回の観測結果から、クラゲ銀河のクラゲの触手のような部分において、星形成がどのように行われているのかを理解することにつながることが期待されるとしている。またクラゲ銀河だけでなく、宇宙の他の場所においても星がどのようにして形成されるのかを理解する上でとても重要な観測結果であるとしている。