ハッブル宇宙望遠鏡が捉えたNGC2419球状星団の姿

4月12日

 

 

 

図1 ( C ) ESA/Hubble & NASA, S. Larsen et al.

ハッブル宇宙望遠鏡によって撮影されたNGC2419球状星団の姿。やまねこ座方向約30万光年の方向に位置する。青い星と赤い星で構成されており、mass segregation(質量による住み分け)が起きている。

 

 NASAは7日、ハッブル宇宙望遠鏡によって撮影されたNGC2419球状星団の画像を公開した(図1)。

 

 球状星団は星が自己重力によって球状に数万~数百万個集まった天体であり、銀河中心に対して回転運動を行っている。図1のようにとても見ていて綺麗な天体である。また球状星団は天の川銀河において150個ほど確認されている。どれも古くから存在する天体であるものの、同じ時期に形成されたものであると考えられており、実際に球状星団を構成する星はどの球状星団においても似たような星によって構成されている。球状星団の年齢を決める方法として金属量と呼ばれる重元素量の比率を用いる方法がとられるが、同じ時期にできた天体であるため、金属量もほぼ同程度である。特にヘリウムの量はどの球状星団においても同程度であるとされている。

 

 NGC2419球状星団はやまねこ座方向約30万光年ほどの場所に位置し、天の川銀河中心に対して回転運動を行っている。この星団も他の星団と同じような性質を持っているだろうと予測されるが、この星団だけは特異な性質を持っている。それは星団に含まれる赤色巨星について、ヘリウムに富んだ星とそうではない星の2つのグループに分かれるということである。ヘリウムに富んだ星は球状星団の中心付近に集まっており、回転運動を行っている。またこの球状星団においては窒素化合物も様々な種類が含まれている。

 

 2つのグループに分かれた赤色巨星、青色の星たちでNGC2419は構成されているが、これらの2つのグループに分かれた赤色巨星が同時にその場所において作られたのか、もしくは別々のグループが違う場所からきて合流したのかは未解明の問題であり、ハッブル宇宙望遠鏡による観測データの解析による理解が進むことが期待されている。