ハッブル宇宙望遠鏡が捉えたクラゲ銀河・JO206の姿

6月11日

 

 

 

図1 ( C ) ESA/Hubble & NASA, M. Gullieuszik and the GASP team.

 

 NASAは9日、ハッブル宇宙望遠鏡によって捉えられたクラゲ銀河・JO206の姿を公開した(図1)。渦を巻くクラゲ銀河の周りには、薄い光で示された塵でできた銀河円盤の姿が写る。またクラゲ銀河の名前の通り、写真右下に向けてクラゲの触手を形づけるように、星が巻きひげ状に連なっており、この触手に沿って銀河円盤が薄く写っていることがわかる。写真の下の方には回折スパイクが見られるほどの明るい光がちらほらと存在する。

 

 クラゲ銀河・JO206はみずがめ座方向約7億光年の場所に位置しており、いくつかの銀河と併せて銀河団を形成している。クラゲ銀河の巻きひげは、クラゲ銀河が銀河団中を移動する際に、銀河団に含まれるプラズマ状の銀河間ガスによって、クラゲ銀河のガスがはぎとられることによって形成される。はぎとられたクラゲ銀河のガスが星形成領域となり、図1のようなクラゲの触手のような形となる。また図1をみると、はっきりと渦を巻く銀河まわりに銀河円盤が存在し、クラゲ銀河の触手部分にも薄い光で示された銀河円盤の姿が写っていることがわかる。

 

 クラゲ銀河の触手部分に存在する星形成領域は銀河中心から離れた場所にあり、星を形成するには特殊な環境であるため、研究者にとってはとても面白い研究題材となる。ハッブル宇宙望遠鏡は驚くべきことに、クラゲ銀河のはっきりと写る銀河円盤と、触手部分に沿って薄く光る銀河円盤の両方において星形成の仕方に大きな差異がないことを示した。したがって、星形成の仕方が銀河円盤の場所によって影響を受けることがほとんどないとしている。